中町曳山、屋根化粧直し 富山県砺波市の出町子供歌舞伎、漆塗り作業18日公開

出町子供歌舞伎曳山会館で進められている曳山の屋根の漆塗り作業

 富山県砺波市の県指定無形民俗文化財「出町子供歌舞伎曳山(ひきやま)祭」を継承する中町の曳山の修復作業が、同市出町中央の出町子供歌舞伎曳山会館で進められている。2022年度から2年間かけて行う事業で、18日には市内の漆職人による屋根の漆の塗り直し作業を一般公開する。

 中町の曳山は3基あるうちの一つ。2004年の解体修理作業の際、1868(慶応4)年の大修理の墨書が見つかっており、江戸時代から伝わっていることが分かっている。随所に使われた彫金金具が映える黒漆塗りが特徴だ。

 曳山を持つ中町、西町、東の3町でつくる砺波子供歌舞伎曳山振興会が文化庁の補助を受けて修復に当たり、2022年度は欄干(らんかん)の漆塗り直し、彫金金具の洗浄や装飾の金箔(きんぱく)の貼り直しをした。

 本年度に行う屋根の漆塗りは中村漆器店(砺波市本町)が請け負い、9月から市内の漆職人の兄弟、中村勇さん(82)と健さん(80)が曳山の周囲に足場を組んで作業している。

 数回の下地塗り、中塗りの工程を経て、艶を出す上塗りを行って10月末に完成予定だ。同社の中村秀樹社長(65)は「欄干の黒と統一感のある屋根に仕上げたい」と話す。

 見学会は18日午後1時半から2時間程度開き、中村社長や中村さん兄弟が修復のポイントや進捗(しんちょく)状況について解説する。企画した出町子供歌舞伎曳山会館の統括責任者、上野正雄さん(64)は「見学会に参加して興味を持ってもらい、ぜひ春の祭り本番にも足を運んでほしい」と話した。

© 株式会社北日本新聞社