【モロッコ地震】路上避難、立ち尽くす 北國新聞社記者ルポ

道路上に避難する宿泊客や住民=8日午後11時20分、モロッコ・マラケシュ(古府拓也撮影)

  ●田村敏和白山市長「恐怖で飛び出した」

 【マラケシュ=古府拓也】大きな揺れに襲われたのは、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界ジオパーク国際会議の取材を終え、マラケシュ中心部のホテルで一息ついた時だった。椅子から立ち上がることができないほど左右に揺れ、建物は「ミシミシ」とけたたましい音を立てる。日本のような耐震設計はされていないから、倒壊するかと肝を冷やした。

  ●ホテルの壁にひび割れ

 ホテル4階の部屋のドアを開けると、壁にはひび割れがいくつも入り、しっくいがぽろぽろと落ちていた。外に出ると、道路上は近隣のホテルや飲食店から避難した人であふれ、心配そうにスマホの画面を見詰めている。

 国際会議の開催中だからアジアや欧米などさまざまな人がいた。涙を流している女性、はだしでぼうぜんと立ち尽くす男性の姿。辺りには救急車やパトカーのサイレンが響く。芝生広場に避難した人たちは、恐怖におびえながら眠れぬ夜を過ごした。

 マラケシュには5日から、白山手取川ジオパーク(石川県白山市)のメンバーがユネスコの世界ジオパーク国際会議に出席するため、現地入りしていた。

 田村敏和白山市長と連絡を取ると、「寝ていたら、大きな揺れを感じたので、驚いて起きた。恐怖を感じて着の身着のままホテルから飛び出した」。白山手取川ジオパークの訪問団にけがはないと聞き、ほっとした。池元勝同市議会副議長は「モロッコは地震が少ないところだと、昼間にみんなで話していたばかりだった。まさかこんなことになるとは」と青ざめた。

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