館内着できれば返して テルメ金沢で50着なくなる7月に200着新調

持ち去られる被害が相次いでいるテルメ金沢の館内着。タオルも持ち帰る人が多い=金沢市松島町

  ●利用者が持ち帰りか

 温泉・宿泊施設のテルメ金沢(金沢市松島町)で、館内着が持ち去られる被害が相次いでいることが分かった。7月に200着を新調したところ、2カ月で50着の行方が分からなくなった。利用した人が、そのまま持ち帰っているとみられる。施設は12月に館内着のデザインを刷新する予定だが、被害が想定以上に多いことから、対策を講じるべきか、従業員は頭を悩ませている。

 テルメ金沢では、温泉や宿泊施設の利用者に館内着を貸し出している。通気性が良い素材の半袖、半ズボンで、利用者がリラックスして過ごせる。男性用が緑、女性用が赤を基調にしたデザインだが、7月、在庫が減ったことを受け、宿泊者向けに紺色の館内着を200着加えた。

 館内着は利用したい人がカウンターで借り、帰りに返すシステムとなっている。全体の数が多く、常に利用する人がいるため全数を把握するのは難しいが、徐々に数が少なくなり、新しい館内着が50枚足りないことが判明した。

 これまでも貸し出し用の館内着やタオル、備品の持ち帰りは後を絶たなかったが、「短期間でこれだけの数がなくなったのは初めて」(担当者)という。返却する際はカゴに返す仕組みで、利用者のマナーに任せていることから、誰が持ち去ったかを特定するのは難しい。

 テルメ金沢が新たに仕入れた館内着は落ち着いた紺色で、館内着の洗濯を担当するスタッフの1人は「日常生活でも着やすく、持って帰ったのではないか」と予想する。上着とズボンで数が合わないサイズもあり、いずれかだけを持ち帰る人もいるとみられる。

 被害が相次いでいることを受け、テルメ金沢は交流サイト(SNS)で「持って帰られた方、やっぱり着心地いいですよね。できれば返してほしいです! 無理ならいいです!」などと呼び掛けている。

 ほかの温浴施設でも館内着やタオル、備品などの持ち帰りが課題となっている。館内着は持ち去られにくいよう、派手なデザインとなっているが、それでも被害は後を絶たない。

 温浴施設はコロナ禍で利用者が減少した上、電気代や燃料代の高騰、物価高などで厳しい状況が続いており、館内着や備品の持ち帰りも経営を圧迫する要因になりかねない。

 テルメ金沢は12月、16年ぶりに館内着をリニューアルする予定。かつては貸し出す際にカードを渡して管理していたが、コロナ禍で取りやめた。ただ、被害がさらに続くようなら、持ち去られないよう対策を検討する。

 テルメ金沢の山田健嗣社長は「皆さんにリラックスしていただく施設で、完全にルールで縛ってしまっていいものか。対応が難しい」と話した。

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