木村伊兵衛の写真展開幕 砺波市美術館に133点

日常の人々の営みを伝える写真に見入る来館者=砺波市美術館

  ●肖像や舞台、昭和の風景… 懐かしく貴重な秀作

 「木村伊兵衛展 写真に生きる」(砺波市美術館、富山新聞社、北國新聞社主催)は9日、同市美術館で開幕した。日本を代表する写真家の木村が感性豊かに捉えた肖像や舞台、昭和の風景などの秀作133点が展示され、来館者は日常の営みや人々の息づかいが伝わる木村の世界を堪能した。

 秋田の農村の暮らしぶりに魅せられ、20年間通い続けた秋田で編みがさをかぶった女性を捉えた「秋田おばこ」をはじめ、若い頃から関心を寄せた歌舞伎の勧進帳や沖縄の市場、東京の下町の様子などを捉えた写真が来館者を引きつけた。

 会場は六つのコーナーで構成されており、「昭和の列島風景」では、子どもの隣組や闇市、焼け跡で我が家を探す復員兵など、戦中戦後の街角を写した写真のほか、駄菓子屋や列車のアイスクリーム売りなど各地の昭和の風景を切り取った写真が並び、来館者は懐かしさを感じさせる作品との「対話」を楽しんだ。

 開幕式で夏野修市長が「普段の生活を捉えた芸術的にも歴史的にも貴重な作品だ」と述べ、佐々木玲子富山新聞社高岡支社長もあいさつした。川辺一彦市議会議長が祝辞を述べ、関係者がテープカットして開幕を祝った。

 会期は11月5日まで。入場料は一般800円で、18歳以下・障害者(介助者1人を含む)は無料。

  ●10月1日講演会

 10月1日午後2時から、市美術館2階市民アトリエで講演会「写真家・木村伊兵衛の世界」が開かれる。写真評論家の飯沢耕太郎氏が講師を務める。聴講無料。定員は40人で、事前申し込みが必要となる。

 23日、10月14日はいずれも午後2時から1階企画展示室で学芸員によるギャラリートークが行われる。

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