<金口木舌>首里城再建と技術継承

 バスケットボールで攻守の中心になる選手は大黒柱に例えられる。プレーでチームを支えるだけではなく競技と向き合う姿勢なども示し、若い選手らはその背中を見て成長する

▼沖縄で初めてバスケの試合が行われた場所は首里城とされる。1905年に女学生らがプレーしたという。先人がまいたバスケの種は長い年月を経て大きく育ち、沖縄でワールドカップが開かれるまでになった

▼火災で焼失した首里城の正殿に柱を建てる作業が始まった。2026年秋の完成に向けて、骨組みを造る工事が本格化する。新しく生まれ変わる首里城に出合うのが今から楽しみだ

▼復元工事には県出身の宮大工も携わる。若手も多いようだ。工事を通じて技術を学べば腕利きの職人に成長するだろう。沖縄の伝統建築を間近で見て、未来につなげることも期待される

▼首里城再建に向けた工程一つ一つが技術継承の礎になる。県民も工事に注目し、作業内容を知る機会にしてもいい。同じ気持ちで再建に臨めば、首里城を身近に感じ、より誇らしく思えるはずだ。

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