9月10日、アメリカ・カリフォルニア州のウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカでNTTインディカー・シリーズ第17戦モントレーグランプリの決勝レースが行われ、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が今季3勝目となる優勝を飾った。
青空に恵まれた2023年シリーズ最終戦の決勝スタートは、ポールポジション(PP)スタートのフェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレン)がターン1へトップで飛び込む。
しかしその後方で、2番手スコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)、3番手のクリスチャン・ルンガー(レイホール・レターマン・ラニガン)、4番手ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)らが交錯。
そこに10番手のグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)、13番手のユーリ・ビップス(レイホール・レターマン・ラニガン)、14番手のマーカス・アームストロング(チップ・ガナッシ)の3台によって起きた接触も重なってしまい、多くのマシンがコースオフやダメージを負う多重アクシデントに発展してレースは早々にフルコースイエロー(FCY)が導入された。
レースは7周目にリスタート。ローゼンクヴィストを先頭に、2番手には5番手から交錯を切り抜けたアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)、3番手には7番手スタートのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が続く。
2番手パロウは、ターン8のあたりからローゼンクヴィストの背後に接近し、最終コーナーのターン11でインに飛び込みオーバーテイク。パロウは首位浮上に成功し、ラインの膨らんだローゼンクヴィストはさらにパワーにも抜かれてしまい3番手に後退する。
8周目には、23番手からリスタートしたニューガーデンがターン3の立ち上がりで姿勢を乱して単独スピン。マシンをコース脇に停止させてしまい、レースは2度目のFCY導入となる。
12周目にレースは再開。ローゼンクヴィストがパワーに仕掛けて2番手を奪取し、4番手のパト・オワード(アロウ・マクラーレン)もインにマシンをねじ込んでパワーをオーバーテイクした。
ここで、5番手を走っていたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)に、1周目のアクシデントの原因があるとしてドライブスルーペナルティが課され、5番手にコルトン・ハータ、6番手にはロマン・グロージャンとアンドレッティ・オートスポートの2台が続く。
ペナルティを消化して順位を下げてしまったディクソンは、18周目に早々のピットインを選択し、FCYを待つことで逆転に懸ける作戦に出る。一方、トップをひた走るパロウは抜群のペースで走行を重ね、25周目には9秒のリードを築き上げる。
27周目にローゼンクヴィストは、周囲よりいち早くピットインを選択し10番手でコースに復帰。しかし、29周目のターン1ですぐ後方を走っていたマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ)がローゼンクヴィストに接近し交錯。マシンを破損したローゼンクヴィストはコントロールを失ってターン3外側のグラベルにスタック。レースは3度目のFCYが導入された。
首位独走中のパロウは、FCY導入直前にピットインを行っており、そのままの順位でコースに戻ることに成功する。
レースは37周目に再開されるも、そのタイミングを前にして最終コーナーでベンジャミン・ペデルソン(A.J.フォイト・レーシング)、カラム・アイロット(フンコス・ホーリンガー・レーシング)、エリオ・カストロネベス(メイヤー・シャンク・レーシング)の3台が絡むアクシデントが発生し、再びFCYが導入となる。
4度目のFCY中、38周目の終わりにピットがオープンになると、序盤に接触やペナルティでタイムをロスしてしまっているディクソン、マクラフランらを筆頭にピットイン。これで残りのピット回数を1回とし、挽回の可能性に望みをかける。このタイミングでピットインを選択したドライバーのうち、トップでコースに戻ったのはアームストロングだ。
レースは42周目に再開された。2番手のオワードに3番手のグロージャンがバトルを仕掛けるが、ターン1のアウト側から並びかけるもグリップを失って姿勢を乱してポジションダウン。間隙を縫って3番手に浮上したのは、アグスティン・カナピノ(フンコス・ホーリンガー・レーシング)。
あと2回のピット作業を残すパロウは、度重なるリスタートにもめげず、再び好ペースを披露してリードを再築していく。ピットインにかかる時間は約30秒前後であるため、アームストロングに対してそのリードを築きたい。
リスタートから15周後の57周目には、6番手のアームストロングに対して26秒のリードを広げ、そろそろピットインを目すると思われた矢先。15番手のデブリン・デフランチェスコ(アンドレッティ・スタインブレナー)と16番手のデイビッド・マルーカス(デイル・コイン・ウィズ・HMD)がターン3で接触しコースオフ。5度目のFCYが導入となり、ピットタイミングを逸してしまったパロウは、結局ピットオープンで作業を行い15番手で復帰している。
FCY導入直前にピットインを済ませていたパト・オワードが新たに首位となり、63周目にレースは再開。ターン11でサンティノ・フェルッチ(A.J.フォイト・レーシング)とトム・ブロンクビスト(メイヤー・シャンク・レーシング)が同時にコースオフし、即座に6度目のFCYが導入された。
ピットオープンになると、アームストロングを先頭にディクソン、マクラフランらが最後のピットインへ向かう。このうちトップでコースへ戻ったのはディクソンで、優勝を争ううえでも事実上の首位に浮上した。
68周目にレースは再開となるが、またもやターン11で接触が発生してしまった。ここで順位を落としたのはアームストロングとエリクソンで、7度目のFCYが導入となる。
74周目のリスタートでは、2番手からグロージャンがオワードにリベンジを仕掛け首位を奪取。3番手には、燃費走行に切り替えざるを得ない数台を抜いたディクソンが浮上した。
75周目のターン3では、ハータとカストロネベスが交錯してしまいコースオフ。8度目のFCYが導入となり、パロウを筆頭に燃費走行を強いられているドライバーらにも光明が差し始める。
79周目にレースは再開。ディクソンが首位でターン1に入っていき、2番手にはマクラフランが続く。84周目には、4番手のパロウが前を行くアイロットのインを差してオーバーテイク。燃費走行を要する状況ながらも表彰台圏内に浮上した。
以降は、荒れに荒れたレース展開も平静を取り戻し、ディクソンが7.3180秒のリードでトップチェッカー。2番手にはマクラフラン、その3秒後方にパロウが続いて2023年シーズンの最終戦は幕を閉じた。
■NTTインディカー・シリーズ第17戦ラグナ・セカ決勝結果
Pos. No. Driver Team Engine Laps/Gaps SP
1 9 S.ディクソン チップ・ガナッシ H 110 11
2 3 S.マクラフラン チーム・ペンスキー C 7.318 2
3 10 A.パロウ チップ・ガナッシ H 10.6111 5
4 12 W.パワー チーム・ペンスキー C 14.6669 7
5 77 C.アイロット フンコス・ホーリンガー・レーシング C 21.1289 20
6 45 C.ルンガー レイホール・レターマン・ラニガン H 21.375 3
7 7 A.ロッシ アロウ・マクラーレン C 22.2153 15
8 11 M.アームストロング チップ・ガナッシ H 27.131 14
9 5 P.オワード アロウ・マクラーレン C 28.3907 9
10 20 R.ハンター-レイ エド・カーペンター・レーシング C 32.3407 25
11 28 R.グロージャン アンドレッティ・オートスポート H 39.0207 8
12 51 S.R.ロブ デイル・コイン・ウィズ・RWR H 43.9875 24
13 06 H.カストロネベス メイヤー・シャンク・レーシング H 58.3175 27
14 78 A.カナピノ フンコス・ホーリンガー・レーシング C 1’01.1843 19
15 8 M.エリクソン チップ・ガナッシ H 1Lap 18
16 55 B.ペデルソン A.J.フォイト・レーシング H 1Lap 23
17 14 S.フェルッチ A.J.フォイト・レーシング C 1Lap 17
18 21 R.ヴィーケイ エド・カーペンター・レーシング C 2Laps 6
19 6 F.ローゼンクヴィスト アロウ・マクラーレン C 2Laps 1
20 18 D.マルーカス デイル・コイン・ウィズ・HMD H 2Laps 22
21 2 J.ニューガーデン チーム・ペンスキー C 4Laps 4
22 29 D.デフランチェスコ アンドレッティ・スタインブレナー H 4Laps 26
23 26 C.ハータ アンドレッティ・オートスポート H 15Laps 12
24 30 J.ビップス レイホール・レターマン・ラニガン H 24Laps 13
25 27 K.カークウッド アンドレッティ・オートスポート H 30Laps 16
26 60 T.ブロンクビスト メイヤー・シャンク・レーシング H 34Laps 21
27 15 G.レイホール レイホール・レターマン・ラニガン H 95Laps 10