針尾無線塔の基礎部分 100年ぶり特別公開 関心高く、長崎県内外から多くの見学者訪れる

県内外から多くの見学者が訪れた1号無線塔の特別公開=佐世保市、針尾送信所

 佐世保市は9、10日に同市針尾中町の国指定重要文化財「旧佐世保無線電信所(通称・針尾送信所)」の保存調査を目的に掘削した無線塔の基礎部分を一般向けに特別公開した。訪れた多くの市民や歴史ファンは、およそ100年ぶりに姿を現した“礎”を見学用デッキから見下ろした。
 針尾送信所は、旧日本海軍が1918年から4年間かけて建設した鉄筋コンクリート製の無線通信施設。管理者の市は将来的な保存に向け、昨年12月から耐震性などを検証する調査をしている。その一環として三つの塔のうち、1号無線塔の基礎形状を確認するために、地下約6メートルまで掘削した。
 特別公開では、調査を委託されている文化財建造物保存技術協会(東京)の職員が、基礎部分が強固な岩盤の上に建てられている状況や建造技術などを説明。市文化財課の松尾秀昭さん(44)は「多くの人が訪れ、関心の高さを感じる。土木、無線の技術、歴史的にみて重要な施設」と話した。
 実家が針尾にあるという市内の会社員、古家智さん(39)は家族で来場。「地元の財産。近代化遺産、戦争の歴史という観点から針尾、佐世保のシンボルということを再認識した。ずっと保存してほしい」と話した。

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