大阪「タワマン」強盗“居住者”含む5人逮捕で残る謎…犯行グループの “関係性”は?

被害男性は殴る蹴るなどの暴行を受け加療約1か月の大けがを負った(’90 Bantam / PIXTA)

「金を出せ!!」――。

7月18日、午後2時25分ごろ。大阪の中心地・南海難波駅に直結した複合商業施設、『なんばパークス』敷地内のタワーマンションで仮想通貨の取引の商談中だった60代男性が襲われ、約7000万円が強取された。

事件の捜査を続けていた大阪府警は9月6日までに実行犯役を含めた5人の容疑者を強盗傷害容疑で逮捕。逮捕された5人には実行犯役を始めとした明確な役割分担が振り分けられていたという……。

“仮想通貨”取引の商談中に…

大阪府警担当記者が言う。

「9月6日までに逮捕されたのは実行犯役の自称・解体工の熊川瞳笑容疑者(事件当時・20)、事件現場となったタワーマンションの29階スカイラウンジでの被害者男性との商取引を設定した無職・高橋知輝容疑者(28)ほか3人です。高橋は事件当時、現場となったマンションの24階に居住していて被害男性とはこれまでにも数回にわたり仮想通貨の取引を行っていました。事件当日も高橋は被害男性とUSDT(テザー)と言う米ドル連動型の仮想通貨の取引の商談中でした」

事件当時高橋は、「金を積めろ」との熊川の指示に従い被害者が用意していた約7000万円を紙袋に詰め床に倒れ込んでいたというが、のちの防犯カメラの捜査からは高橋が事件直前、1階の駐輪場付近で熊川と謀議しマンションに招き入れる姿が確認されたことなどから他の容疑者らに先立って7月18日午後11時6分に緊急逮捕されていた。

「犯行グループには高橋と熊川の他、マンションから熊川と車両を使って逃走した宮城彰也(20)や凶器となった催涙スプレーを準備した橋本諒太(25)。 被疑者との中継役を行った重永龍也(20)らが加わっており、明確に役割分担がなされていました」(同前)

“闇バイト”などの介在も?

先に逮捕されていた高橋を除いた4人は、「防犯カメラのリレー捜査やグループ内での通話履歴などの分析で存在が浮上、逮捕に至った」(同前)というが、グループ全員が20代と若く、出身地も福岡、大阪、沖縄と整合性がないことから “闇バイト”などの介在も指摘されている。前出の記者が続ける。

「被害に遭った男性は金銭を強取される際、顔面に催涙スプレーを噴射され顔面や頭部などを複数回殴る蹴るなどの暴行を受け、加療約1か月間を要する頭部打撲傷、頭部外傷後遺症、スプレー外傷などのけがを負いました。警察はグループに背後関係があるとみて今後は突き上げ捜査を行う方針です」

容疑者側と知遇があったとはいえ一般的にはセキュリティーの高いとされているタワーマンション内で白昼堂々起きた今回の事件。犯罪の多様化が進行している……。

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