ホンダ使いのチャンピオン、トニー・ダルベルトが待望の今季初勝利/TCRオーストラリア第5戦

 9月8~10日に豪州大陸はサンダウンで開催されたTCRオーストラリア・シリーズ第5戦は、王者トニー・ダルベルト(ウォール・レーシング/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がオープニングのレース1で待望の今季初勝利。明けた日曜はベイリー・スウィーニー(HMOカスタマー・レーシング/ヒョンデi30 N TCR)が連勝を飾り、選手権首位の座を維持している。

 今季終盤2戦のシドニー・モータースポーツパーク、そして“聖地”バサーストのマウントパノラマにて、いよいよ新生TCRワールドツアーを迎え撃つシリーズは、そのスタンドアローン最後のラウンドとしてサンダウンでの1戦を迎えた。

 その併催イベントを前に各陣営からもいくつか動きがあり、ホンダ・オーストラリアの支援を受けるウォール・レーシングは、前戦8月のクイーンズランド・レースウェイにてシリーズ初優勝を飾っている、新鋭ブラッド・ハリス(エクスクルーシブ・スイッチボード/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)の実弟、ウィル・ハリスを起用して3台目のシビックRを走らせるとアナウンスした。

「兄のブラッドがTCRフィールドに加わって以来、僕は明らかに彼のことを注意深く観察してきたが、外野から眺めているだけなのは大変だったよ」と、自身もTCR初参戦が決まったウィル。

「とんでもなく競争が激しいカテゴリーだが、兄と一緒にフィールドに出るチャンスを逃すわけにはいかなかった。同じマシンに乗り、このウォール・レーシングのような素晴らしいチームに所属することになるんだから、ふたりとも本当に楽しみだよ」

 そんな兄弟を起用することを決めたチーム代表のデイビッド・ウォールも、新型導入とともに最終2戦で世界戦の面々を迎え入れることを「楽しみにしている」と語った。

「彼ら兄弟はマツダRX88カップでもつねに互角のスピードを披露していた。新しいFL5型ホンダ・シビック・タイプRはサンダウンの後に登場する予定だが、まだ充分な準備期間はある。トニーをそのマシンに乗せて、世界最高のチームとどのように対戦するか。チームにとって3台のマシンで戦うことになるのはエキサイティングだね!」

 そう期待を寄せられたエースのダルベルトは、昨季のタイトル獲得以降いまだ未勝利が続く苦しいシーズンとなっており、週末最初の予選でも2列目4番手に留まることに。

いよいよ新生TCRワールドツアーを迎え撃つ終盤2戦に向け、ホンダ陣営ウォール・レーシングはブラッド&ウィルのハリス兄弟を起用する
レース1は予選4番手の王者トニー・ダルベルト(ウォール・レーシング/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がロケットスタートを決める
そのダルベルトは、次戦からいよいよFL5型ホンダ・シビック・タイプRにスイッチする

■古豪GRMがクレーレ兄弟をフランスから招聘へ

 しかし迎えた決勝レース1ではロケットスタートを決めターン1までにリードを奪い、アーロン・キャメロン(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ/プジョー308 TCR)や初代王者ウィル・ブラウン(メルボルン・パフォーマンス・センター/アウディRS3 LMS 2)らを抑え切り、待望の2023年初勝利を収めた。

 一方、この土曜にポールポジションを獲得しながら、今季序盤にTCRワールドツアーにも挑戦したベン・バルグワナ(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ/プジョー308 TCR)をブロックしたとして、レース後に5秒加算のペナルティを科せられていたスウィーニーは、この結果によりレース2のリバースグリッドでフロントロウを獲得。

 地元イギリスでの挙式から戻ったトム・オリファント(アシュリー・シュワード・モータースポーツ/リンク&コー03 TCR)らを撃破し、日曜のレース2、レース3を制覇しての“サンデイ・ダブル”を決めてみせた。

 この両ヒートでもプジョーを表彰台に送り込んだ古豪ギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)は、ホンダ陣営と同様に続く連戦でテディ&ジミーのクレーレ兄弟をフランスから招聘することを発表。TCRヨーロッパ・シリーズでも戦ってきたふたりが、双方がいずれかのイベントに参加するとともに、バルグワナのマカオ参戦もアナウンスしている。

「オーストラリアに戻ってきて、あの素晴らしい雰囲気にふたたび加わることができて本当にうれしい。僕らは昨年バルグワナ一家に出会い、最初から良い関係を築いてきたんだ」と兄のテディ。

「その後、僕らはポルティマオとスパで一緒に本当に良い時間を過ごした。ジミーと僕がどちらのイベントに出場するかは未定だが、世界的な経験は僕らとGRMにとって素晴らしい武器になるだろう」

 一方、マカオ出場が決まったバルグワナも「これは多くのドライバーのやりたいことリストに載っている象徴的なレースのひとつだ」と意気込みを語る。

「旅を通じて僕らはクレーレ兄弟と素晴らしい友人になった。どちらがシドニーで、どちらがバサーストに出るか、いまは兄弟でジャンケンしてるはずさ(笑)。僕自身、マカオに行って活動することは素晴らしいこと。世界戦の最終ラウンドで戦えるのも本当に光栄だよ」

日曜はベイリー・スウィーニー(HMOカスタマー・レーシング/ヒョンデi30 N TCR)がリバースから快走を見せる
そのスウィーニーがレース2、レース3と連勝を飾り、選手権首位の座を維持している
古豪ギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)は、ホンダ陣営と同様に続く連戦でテディ(写真)&ジミーのクレーレ兄弟をフランスから招聘することを発表している

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