まちの良さ伝わらない? 歌手・美川憲一さん出演 長崎・南島原市のウェブCMが賛否両論

美川憲一さん出演の南島原市ウェブCM

 「迷えるあなたを指南します。 水に流せるまち 南島原市」-。歌手の美川憲一さん(77)を観光PR大使に起用した長崎県南島原市のウェブCMに「まちの素晴らしさが伝わらない」「バズ(話題が拡散され)れば宣伝効果がある」と市民から賛否両論の声が上がる。
 市は特産品や名所のPRのため動画7本(各15秒程度)を先月24日からユーチューブの市公式チャンネルで公開。美川さんは市特産の島原手延べそうめんを房飾りのように身にまとった衣装で登場する。相談者の最近許せなかったことや悩みを「南島原で水に流しなさい」と指南。相談者はそうめんのように水に流すというストーリーだ。
 市はシティープロモーション事業として、出演料や制作費など計約900万円を支出。「美川憲一登場」篇(へん)は約1万7千回再生されている(11日現在)。
 11日の市議会一般質問。髙木和惠議員(偏西風)は「“水に流せるまち”の意味が分からない。(公開日が)東京電力福島第1原発処理水の海洋放出開始時期と重なった。流せ、流せはマイナス」と松本政博市長らをただした。松本市長は「(来訪者から)ほっとすると聞いている」と困惑した表情を見せた。
 市民の受け止めもさまざま。有家町の団体職員の男性(62)は「美川さんの個性が強すぎる」と指摘。口之津町の主婦(42)は「島原で撮影された企業CMのように、もっと情緒的な作品を」と提案した。有家町の男性会社員(35)は「批判を含めバズったなら費用対効果はある。少子高齢化が進む過疎地域が話題になるのは良いこと」と前向きにとらえている。

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