⾼星明誠がメーカーの垣根越え“初仕事”。JRP、再生可能原料割合を変更したタイヤをもてぎでテスト

 株式会社⽇本レースプロモーション(JRP)は、9⽉11〜12⽇の2⽇間、今シーズン初となるカーボンニュートラル(CN)開発テストを栃⽊県のモビリティリゾートもてぎで⾏った。

 JRPは『SUPER FORMULA NEXT50』プロジェクトを通じ、「カーボンニュートラルへの対応」と「エンターテインメント性の向上」のふたつをテーマに、昨年⼀年間、メーカーの垣根を越えてCN開発テストを繰り返し実施し、得られた知⾒を活かした新型マシン『SF23』を2023シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権に実戦投⼊している。

 SF23ではCNの対応として、原材料ならびに製造過程でのCO2排出量を約75%抑制したBcomp社のバイオコンポジット素材や、天然由来の配合剤やリサイクル素材等、再⽣可能原料を活⽤した横浜ゴムのCN対応レーシングタイヤが採用されている。

 今回のテストでは、再⽣可能原料の割合を増やしたタイヤの開発テストが実施された。

 開発車両は2022年と同じくトWhite Tiger SF23(ホンダエンジン搭載、通称『⽩寅』)とRed Tiger SF23(トヨタ/TCDエンジン搭載、『⾚寅』)の2台。白寅のステアリングを握ったのは昨年から開発を担当している塚越広⼤で、⾚寅には既報のとおり新たな開発ドライバーとして、ニッサン系チームからスーパーGT・GT500クラスに参戦中の⾼星明誠が乗り込んだ。

開発ドライバーとして“赤寅”をドライブした高星明誠と上野禎久JRP社長

 初日午前から再生可能原料の割合を変えた4種類のタイヤコンパウンドのテストが行われ、初日午後にはロングラン走行も。2日目はケーシング(構造)違いが4種類持ち込まれ、ここでも午前にスペックの評価、午後にはロングランが行われた。

 2日間合計で、塚越は163周、高星が199周を走り込み、JRPは「開発テストメニューはすべて順調に消化されました」としている。

9月11〜12日にモビリティリゾートもてぎで行われたスーパーフォーミュラCN開発テストの様子
再生可能原料の割合を変更した横浜ゴムのタイヤがテストされた

 次回のCN開発テストは、11月21日にモビリティリゾートもてぎにて実施される。

 9月11〜12日のCN開発テストに参加したふたりのドライバー、そしてテクニカルアドバイザーのコメントは以下のとおり。

■開発ドライバー 塚越広⼤

「昨年テストをして、今季から導⼊されたタイヤがまず基本に、そこに更に再⽣可能原料の⽐率を上げたタイヤのテストになったわけですが、横浜ゴムが狙っている結果とドライバーのコメントがほぼ合っているというところから、⾮常にレベルの⾼い精度・次元に来ているのではと感じています」

「昨年の最初の頃はレースで使⽤するには少し厳しいかな……というフィーリングがあったのですが、今年⼀年使⽤している実績を踏まえて、計算通りに進んでいるなと⾔う印象を持ちました」

開発ドライバーとして“白寅”をドライブした塚越広大

■開発ドライバー ⾼星明誠

「TOYOTA の開発⾞両に私が乗れることは異例のことだと思いますし、⾮常に光栄には思いますが、だからこそテストメニューについてのすべてのことをきちんと消化していかなくてはいけないと思っていましたし、⾃分の評価コメントを皆さんに評価いただいて、開発がポジティブな⽅向に向かえば良いな、と考えています」

「テストに関しては昨⽇今⽇で、良いところ悪いところを⾒つけることができましたし、今後の課題になるようなところも、⾒つけられたと思います」

「次回はウエット路⾯でのテストと聞いていますので、今回同様ミスすることなくすべてメニューをこなして⾏ければと思っています」

9月11〜12日にモビリティリゾートもてぎで行われたスーパーフォーミュラCN開発テストの様子

■テクニカルアドバイザー 永井洋治氏

「再⽣可能原料の⽐率を多くするという、今回最⼤の⽬的については、⾮常にステップアップしたトライもあった中で、充分な感触を得られたことが⼤きな収穫でした」

「また開発に携わってくれたドライバーも1000km 近く⾛⾏してくれました。データを取得するために⾮常に⼤きく貢献頂けたことに感謝しています」

テクニカルアドバイザーを務める永井洋治氏

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