F1 Topic:角田、ローソン、リカルド。様々な憶測が飛び交うアルファタウリの2024年ラインアップ

 アルファタウリの2024年のシートを巡って、さまざまな憶測が飛び交っている。そのなかには、アルファタウリの2024年のドライバーラインアップはダニエル・リカルドとリアム・ローソンとなるのではないか、というものまである。つまり、そうなれば、現在レギュラードライバーの角田裕毅はアルファタウリを追われることを意味する。

 しかし、2023年シーズンここまでチームでただひとりポイントを獲得しているドライバーである角田をチームが放出するとは考えにくい。しかも、角田に代わってシートを獲得するのが、角田にチーム内争いで一敗地にまみれたニック・デ・フリースの代役であるリカルドと、そのリカルドがオランダGPで怪我を負ったために、代役となったローソンというのは、常識的に考えにくい。

 そのことは、F1第15戦イタリアGPでのクリスチャン・ホーナー代表(レッドブル)のこんなコメントからもうかがうことができる。リカルドに代わってレースに出場しているローソンに、2024年にチャンスはあるかという質問に、ホーナーはこう答えている。

「いまがリアムにとっては大きなチャンスであることは間違いない。どのドライバーにとっても、F1マシンに乗り、レースに出場するのであれば、そのチャンスを最大限に活かさなければならない。リアムのキャリアのなかで、いまが絶好の機会となっていることは間違いない。なぜなら、ダニエルの不運は、リアムの幸運だからね」

 つまり、ホーナーのコメントから察するに、角田はほぼ確定していて、そのチームメイトをリカルドにするのか、ローソンにするのかがまだ決まっていないのではないだろうか。

クリスチャン・ホーナー代表(レッドブル)

 それなら、なぜほぼ確定している角田だけを先に発表しないのか。それは、チームとしてはできるだけふたつのシートを100%固めてから、発表したいという思惑があるのではないだろうか。

 たとえば、昨年も角田の残留発表は9月22日と、その1年前よりも15日間遅れた。ただし、契約発表直後、角田はこう語っていた。

「1年目よりは確実に(残留できると)予想していました。だから、昨年よりは驚きは少ないです。(残留できることをチームから聞いたのは)3日前くらいかな……。あ、本当は1週間前に確認していました。イタリアGPの後ですね」

 昨年のアルファタウリは角田のチームメイトだったピエール・ガスリーがチームを離脱したがっていて、その代わりにアメリカのインディカーで活躍していたコルトン・ハータを起用する予定で交渉を進めていたが、スーパーライセンスポイントが不足していたため、断念せざるを得ない状況となり、なかなかガスリーに代わるドライバーを見つけられない状況となっていた。

 今年のアルファタウリの状況も、昨年にやや似ている。

 アルファタウリは今年、11戦目のイギリスGP後にデ・フリースを解雇。代わってシーズン途中から角田のチームメイトとなったのがリカルドだった。当初は2024年に角田のチームメイトとなるはずだったが、オランダGPで左手を骨折。さらにその代役としてオランダGPから出走しているローソンが想定していた以上にいい仕事を続けているため、アルファタウリのドライバー選定に影響力があるホーナーやヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が迷い出しているというのが、大型の見方だ。

2023年F1第15戦イタリアGP リアム・ローソン(アルファタウリ)

 昨年アルファタウリがデ・フリースの起用を発表したのが10月8日と角田よりも2週間以上遅かった。さらにリカルドの代役を務めているローソンは日本GPまでステアリングを握ると言われているため、そのパフォーマンスを見てから角田のチームメイトが決定するものと考えられる。

 そのため、角田のみホームレースとなる日本GPまでに発表し、チームメイトは日本GP後となる可能性も出てきた。

 ただし、もしアルファタウリが日本GPまでに角田の残留を発表しなかった場合、角田の残留に対して黄色いランプが点滅することになる。

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