一緒に作業、交流楽しい 高千穂で草刈りツーリズム

地元住民と一緒に草刈り作業に汗を流す参加者

 草刈りと着地型観光を組み合わせたユニークな催し「草刈りツーリズム」が9日、高千穂町三田井の浅ケ部集落であった。傾斜地の多い中山間地域で住民の大きな負担となっている草刈りに楽しみながら取り組もうと、町などが企画。県内外から約50人が参加。地域住民と草刈りや昼食、観光を共にして交流を深め、地域課題の解決に貢献した。
 町は昨年、町民100人に日常生活の困り事をヒアリング調査したところ、高齢化や人手不足を理由に草刈り作業を挙げる人が多かった。そこで、鹿児島市喜入町を拠点に「草刈りツーリズム」に取り組む団体を視察。それを参考に高千穂でも取り入れ、今回が2回目。参加者は午前中、草払い機で集落道や農道沿いの草を短く刈り込んだ後、浅ケ部公民館で昼食。地元の女性たちが手作りした神楽うどんや煮しめに舌鼓を打ち、午後は浅ケ部神楽を鑑賞。住民と親睦を深めた。
 日向市日知屋の公務員木藤一磨さん(51)は「神楽に興味があり、地域の方と触れ合ってつながれたらと参加した。美しい棚田を眺めながらの作業は気持ちよかった」と笑顔。地元住民の戸高貢さん(80)は「人数が多いとあっという間に終わる。何より一人でするより、楽しいし元気が出る」と話していた。
 町は「地元住民との交流を通じて地域のファンになってもらい、交流人口や関係人口の創出、将来的な移住につなげたい」として今後も続けていく考えだ。

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