袴田 巌さん再審に向け5回目の三者協議 今後の焦点は?元検察官・若狭弁護士に聞く(静岡県)

死刑が確定した袴田 巌さんの再審=やり直しの裁判に向けた、裁判所、検察、弁護団による三者協議が、12日 行われています。

弁護団と検察と裁判所による5回目の三者協議は、静岡地裁で今も行われています。

1966年、静岡・旧清水市でみそ製造会社の一家4人が殺害された事件で、当時、従業員だった袴田 巌さんが犯人とされ、1980年、死刑が確定しています。しかし、2023年3月、犯行着衣とされている5点の衣類について、東京高裁が「犯行着衣ではない」とする弁護側の主張を認め再審が確定しました。

再審開始が決定したことを受け、現在、再審公判に向けた協議が、弁護団と検察、裁判所の3者で進められていて、これまでの協議で、弁護団は、5点の衣類は捜査機関によってねつ造されたものだとして、証拠からの排除を訴え袴田さんの早期無罪判決を求めています。一方、検察側は、袴田さんの有罪を主張し、5点の衣類について法医学者が再鑑定した結果を新証拠として提出する方針を示しています。9月27日には6回目の「三者協議」が行われる予定です。

一方、袴田さんの支援者らは12日、静岡地裁と静岡地検に要請書を提出しました。支援者らは、袴田巌さんの1日も早い無罪判決を目指し活動していて、早期の再審公判開始を訴え続けています。

12日 午後、静岡地裁に要請書を提出した支援者らは、再審公判を多くの市民が傍聴できるように、空いている法廷を活用しモニター中継をするよう要請しました。

要請書では、多くの人が再審公判で傍聴席を希望すると予測した上で、弁護人席など多くの関係者席が見込まれることから、一般傍聴席が少なくなるとみて拡大を求めています。また、静岡地検には有罪立証の方針を辞めるよう要請しています。

ここからは元検察官の若狭弁護士に伺います。 約2か月ぶりに開かれた三者協議ですが、主な焦点となっているのは、裁判所が検察や弁護団が提出したどの証拠を採用するのかについて、また、再審開始期日の今後の見通しについてです。若狭弁護士、12日、5回目の三者協議が行われましたが、この段階ではどのようなことが話し合われているのでしょうか。

(若狭 勝 弁護士 解説)

前回までの三者協議で、検察と弁護団が請求する証拠はほぼ出そろっています。弁護団によりますと、有罪立証する方針を示している検察側の証拠は255点。この中には再審開始の決定後に作成された「5点の衣類」に関する法医学者の鑑定書など新たな証拠も含まれています。弁護団は実験の報告書など326点の証拠を請求していて、検察側が示した「5点の衣類」に関する新たな証拠については、衣類は捜査機関にねつ造されたものであるとして、証拠から排除したうえで無罪判決を求める方針です。若狭弁護士、こうした中で裁判所がどの証拠を採用するかが裁判の行方に大きく関わるのでしょうか?

(若狭 勝 弁護士 解説)

一方、気になるのは今後の裁判の日程です。検察が再審で有罪を主張し無罪となった事件では、再審開始決定から無罪判決まで1年から3年ほどかかっています。袴田さんも、3月の再審開始決定からすでに半年がたとうとしていて、弁護団側は早期に公判を開始するよう求めています。

(若狭 勝 弁護士 解説)

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