日本代表、大幅メンバー入れ替えもトルコを4発撃破で欧州遠征連勝締め! 伊藤敦樹の初弾に中村敬斗が2発!【キリンチャレンジカップ2023】

[写真:Getty Images]

日本代表は12日、ベルギーのセゲカ・アレーナで行われたキリンチャレンジカップ2023でトルコ代表と対戦し、4-2で勝利した。

森保一監督の第二次政権初となる海外遠征に臨んだサムライブルー。9日に行われた初戦ではカタール・ワールドカップ(W杯)で2-1の勝利を収めたドイツ代表との約10カ月ぶりの再戦に4-1で完勝。W杯からの進化を示した。

ヴォルフスブルクからヘンクに場所を移して行われた第2戦では2002年日韓W杯以来の対戦となるヨーロッパの中堅国トルコと対戦。森保監督はドイツ戦から伊藤洋輝を除く先発10人を変更。GKに中村航輔、4バックは右から毎熊晟矢、谷口彰悟、町田浩樹、伊藤洋輝。中盤は伊藤敦樹と田中碧の2セントラルMFに、2列目は堂安律、久保建英、中村敬斗。1トップに古橋亨梧が入った。なお、毎熊と町田がA代表デビューとなった。

一方、5大会連続でW杯本大会から遠ざかるトルコだが、現在行われているユーロ2024予選ではクロアチア代表に次ぐグループD2位と好位置に付ける。1-1のドローに終わった9日のアルメニア代表戦からは大幅にメンバーを入れ替え、チャルハノールやデミラル、チェリクといった一部主力はベンチ外に。それでもソユンジュ、オルクン・コクチュ、エズジャンといったビッグクラブで活躍する実力者がスタメンに名を連ねた。

日本は久保をトップ下に配した[4-2-3-1]、トルコはユルデュルムを1トップに配した[4-1-4-1]でスタート。互いに様子見の入りとなり、主導権争いが繰り広げられる。

ランチタイムキックオフの影響もあったか、なかなか効果的にプレスが嵌らず、相手にボールを持たれる状況が続く日本。12分にはミドルレンジのスルーパスに抜け出したユルデュルムにボックス右からシュートを打たれるが、これはDF谷口の寄せもあって枠を外れる。

相手を圧倒したドイツ戦とは異なる難しい入りとなった日本だったが、代表2戦目でアピールしたい国内組の25歳MFが鮮烈な一撃でゴールをこじ開けた。

15分、ボックス右角でボールを持った伊藤敦が内側へドリブルで運びながら堂安との短いワンツーでペナルティアーク付近まで持ち込むと、そこから左足を一閃。強烈なシュートがゴール右上隅の完璧なコースに突き刺さった。

この試合のチーム最初のシュートとなった伊藤敦の代表初ゴールで先手を奪った日本。これで劇的にゲームの流れを引き寄せるまでには至らないが、攻撃面では久保や古橋を起点に幾度か良い場面を作り出していく。

すると、28分には高い位置でのボール奪取からカウンターに持ち込むと、ペナルティアーク付近の久保が無回転気味の強烈な左足のシュートを放つ。これをGKチャクルが前にこぼすと、こぼれ球にいち早く反応した中村敬がしっかりとコースを狙ってゴール右下隅へ流し込んだ。

この貴重な追加点によってペースを握った日本は要所で中盤や前線の選手がクオリティを発揮。局面を打開する場面を増やしていくと、36分にはハーフウェイライン付近の右サイドでバラトからボールを奪った毎熊が一気に背後のスペースへ持ち上がっていく。

そして、堂安と久保の動き出しでぽっかりと空いたファーの中村敬に正確なクロスが届けられると、スタッド・ランスFWは冷静なボールコントロールからDFの股間を抜く右足のシュートをゴール左隅へ流し込んだ。

毎熊の初アシストによる中村敬の2点目で3点リードを手にした日本だが、ここからトルコの攻勢に晒される。44分には自陣中央左で与えたFKの場面でキッカーのオルクン・コクチュにファーサイドへ正確なボールを落とされると、ミュルドゥルのヘディングでの折り返しはGK中村航が何とかはじき出すが、こぼれに詰めたオザン・カバクに押し込まれた。

前半終盤のもったいない時間帯の失点に加え、この失点場面でカバクと交錯した中村航が右肩を痛めてプレー続行不可能に。このアクシデントを受け、GKシュミット・ダニエルがスクランブル投入される形で前半を終えることになった。

3-1のスコアで試合を折り返した日本はハーフタイムに3枚替えを敢行。毎熊と中村敬、堂安がお役御免となり、橋岡大樹、伊東純也、前田大然がいずれも同じポジションで投入された。

対するトルコはハーフタイムで一気に5枚の交代枠を使ってチャルハノール、ウンデル、デミラルらをピッチに送り出した。

後半の入りは快足の前線ユニットがハイプレスを仕掛けるなど、前半に出た守備の課題を修正する意識は見受けられたが、以降は割り切ってリトリートしながら守る場面が増えていく。

後半の攻撃はカウンター色が強まり、前に出てきたトルコを前線のスピードを生かして引っくり返そうという試みが目立つ。古橋の駆け引きにに加え、ゴール前の混戦からの久保のブロックシュートが左ポストを叩くなど惜しい場面も。

だが、後半に入ってアタッキングサードの精度を増したトルコに先にゴールを奪われる。61分、日本の右サイドを崩されてサリ、ウンデルと続けてクロスを送り込まれると、DF谷口とDF町田にディフレクトしてゴール前に流れたボールをユルデュルムに左足で押し込まれた。

これで1点差に迫られた日本は直後に久保、前田、古橋の鮮やかな連携からゴールに迫るが、古橋のワンタッチシュートは惜しくも右ポストを叩く。64分には伊藤敦を下げて遠藤航を投入し、全体のバタつきを修正する。

頼れるキャプテンの投入でうまく試合を落ち着かせたかに思われたが、70分過ぎには続けてピンチ。ボックス付近で内と外を交えた攻撃で揺さぶられると、イルファン、サリに決定的な2本のシュートを打たれるが、ここはGKシュミット・ダニエルのビッグセーブで事なきを得た。

ベルギーの地で長らく活躍するGKの活躍に触発されたか、この直後にはセゲカ・アレーナを庭としていた“ヘンクの稲妻”が魅せる。76分、相手CKを撥ね返した流れで自陣右サイドでボールを持った伊東が持ち味の快足を飛ばして一気に持ちあがると、ボックス内でユラセクのファウルを誘ってPKを獲得。そして、自らゴール右隅へ正確なシュートを決め切って凱旋ゴールとした。

この4点目でトルコの勢いを完全に止めた日本は、コンディションを考慮してか、町田を下げて冨安健洋を最後の交代カードとして切り、ここから試合をクローズにかかる。試合終盤は5点目を奪うチャンスを決め切れなかった一方、守備では危なげなく相手の反撃を凌ぎ切った。

内容面ではドイツ戦に比べて課題は残ったものの、大幅にメンバーを入れ替えた中で2試合連続4ゴールを奪った日本は連勝を飾ったヨーロッパ遠征を実りある形で終えた。

日本代表 4-2 トルコ代表

【日本】

伊藤敦樹(前15)

中村敬斗(前28)

中村敬斗(前36)

伊東純也(後33[PK])

【ドイツ】

オザン・カバク(前44)

ユルデュルム(後16)

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