内閣改造

 「たらい回し、たらい回しって批判されるけど、会派には多彩な人材がいる。いろんな人に活躍してもらうための一つの方法。『生活の知恵』みたいなもの」-。任期の途中で議長が交代する本県の県議会の慣例について、議員の1人からこんなふうに説明されたことがある▲たくさんの人に“出番”をつくるため…。いや、その発想を「たらい回し」と呼ぶのでは-と思いつつ、一方で、妙に納得させられたのをよく覚えている▲現場取材の頃の古い話をひょっこり思い出したのは、今回の内閣改造や自民党役員人事が、これとは少し理屈が違っているように思えるからかもしれない。昨日は通信社の出稿案内で「再任が固まった」とか「留任を軸に調整」の言葉を繰り返し聞いた▲前夜のうちに早々と全容が明らかになるのは、このところの内閣改造の常だが、手腕の持ち主も、出番を待っている人も党内には山ほどいるのだろうに、主要ポストの顔触れはほとんど変わらない▲もともと人事は「首相の専権事項」なのに加えて、念入りに「一任」まで取り付けて人選に臨んだのに、腕をふるった痕跡もサプライズも見つけにくい▲何を狙った改造なのだろう。首相自身の説明を待たねばなるまいが、説明されてもその狙いが理解できるかどうか…何だか不安だ。(智)

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