「金山・銀山」炎で先祖送る 中国盆フィナーレ 長崎・崇福寺

爆竹の音とともに赤々と燃え上がる「金山・銀山」=長崎市、崇福寺

 中国・福建省出身者の菩提(ぼだい)寺として知られる長崎市鍛冶屋町の崇福寺で12日夜、円すい状の飾り「金山・銀山」が爆竹音と共に勢いよく燃え上がり、先祖らの霊を供養する中国盆を締めくくった。
 中国盆は旧暦7月26~28日の伝統行事。同寺に招き入れてもてなした先祖らが、あの世で困らないようにお金に見立てた金山・銀山を燃やし送り出す習わしがある。
 金山・銀山はこれまで、竹で作った骨組みに金や銀の紙を貼り付けて製作。今年から手間暇を省くために材料を段ボールに変更した。今年の代表(福首)を務める楊爾嗣(ようちかし)さん(72)は「赤字の中で伝統を継承していた。後世につなぐための苦肉の策」と話した。
 僧侶の読経後、県内外から集まった華僑らが見守る中、60組が炎と熱気で包まれた。鹿児島県から訪れた華僑4世の林祥子さん(36)は「今年も帰ってきてくれてありがとう。真っすぐあの世に戻ってもらいたい」と話した。

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