「その瞬間の感情、幸福感で動かされたもの」女子選手へのキスで辞任したルビアレス元会長が改めて自身の潔白を主張

[写真:Getty Images]

スペインサッカー連盟(RFEF)の会長を辞任した、ルイス・ルビアレス氏が、改めて自分の無実を語り、辞任に至った経緯を説明した。イギリス『talkSPORT』が伝えた。

【動画】性的暴行罪の可能性も、エルモソが訴えた会長からの合意のないキス

10日、ルビアレス会長は辞任を発表。オーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)の決勝戦の後、セレモニー中にスペイン女子代表FWジェニファー・エルモソの唇にキスをしたことが大きな問題となり、固辞し続けたものの最終的には辞任に至った。

優勝セレモニーの中での出来事に対し、エルモソが「自分は無防備で攻撃の犠牲者だ」と主張。合意がないままキスをされたことに世界中で批判が殺到。ルビアレス会長が糾弾されることとなった。

一度は歯切れの悪い言葉で謝罪動画を公開したルビアレス氏だったが、臨時総会の場では自分の潔白を主張。「全て合意の上だった」とキスはエルモソと合意した上だったと語り、「辞任する気はない」と5度も叫び世界を驚かせた。

しかし、国際サッカー連盟(FIFA)はルビアレス氏の資格停止処分を暫定的に発動させ会長職を追われると、エルモソは正式に被害を告訴。性的暴行罪に当たるとして、スペイン検察から正式な捜査が行われることに。そしてルビアレス氏は望まない退任を決断した。

そのルビアレス氏は、『talkSPORT』でピアーズ・モーガン氏と対談。改めてスペイン女子代表の選手たちへの愛を語り、辞任を決断した経緯を語った。

「私は娘たちをとても愛しているし、彼女たちも私を愛している。私はとても幸せで、彼女たちを誇りに思っている。彼女たちは私のそばにいる」

「辞任については、そうするつもりだ。仕事を続けることができないのでね」

「父とも娘たちとも話した。私は彼らと話をしたが、彼らは私についての質問ではないことは知っていた」

「何人かの友人、とても親しい人たちが、『ルイス、今は尊厳にフォーカスし、自分の人生を続ける必要がある。そうしなければ、愛する人々や、愛するスポーツにダメージを与えることになるだろう』と言ってきた」

「誰かが自分のことだけを考えていない時、私はこの3週間でたくさんのサポートをしなければならなかった。ただ、これは私だけの問題ではなく、私の態度は第三者に非常に重要な影響を与える可能性がある。この状況では、より賢明であり、私がやらなければならないことだった」

周りにも促され、自身が望んでいなかった辞任を決断することが最善だと判断したルビアレス氏。世間の反応を見ても、難しいことを感じたという。ただ、エルモソに直接謝罪する気はないようだ。

「起こったことは誰にとっても悪いことだった」

「ジェニーに私を持ち上げてもらった。コンマ2秒の一瞬のキスだったが、そこから生まれたものはクレイジーなものだった」

「私に残されたのは、自分の尊厳を守ること。だから、ピアーズが言う問題(謝罪)ではなく、謙虚さの問題だ」

「つまり、我々がしたことは自発的な行為であり、相互の行為であり、双方が同意した行為であり、その瞬間の感情、幸福感によって動かされたものだ。私は、何が起こったかが真実だと主張する」

ルビアレス氏の主張は一貫して「合意」があったというもの。あの瞬間にエルモソが受け入れる気があったと言いたいのだろう。望んでいなかったとしても、その瞬間は許したと言いたいようだ。

ルビアレス氏は、自身のX(旧ツイッター)でも辞任の前に心境を綴っており、改めて自分がしたことは悪くないと主張。真実ではないことが多いと主張していた。

「FIFAによって迅速な資格停止し処分が下され、私に対しての残りの手続きが開始された後、私がその地位に戻れないことは明らかだ」

「待って耐えることに固執するのは、連盟にとってもスペインサッカー界にとっても、何のプラスにもならない」

「私は真実を信じており、勝利するために全力を尽くすつもりだ」

「私の娘たち、家族、そして私を愛する人々は、多くの虚偽だけでなく、過度の迫害の影響に苦しんできた。しかし、日に日に真実が広まっているのも、また事実だ」

「私は自分の名誉を守る。自分の無実を守る。未来を信じている。真実を信じている。皆さんに感謝する」

ルビアレス氏は12日に出廷。この先、更なる捜査で真実が明らかになることになる。

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