【何に見える?】子どもと見つけたい秋の雲 “特徴&見分け方”

まだまだ残暑が厳しいですが、朝晩は涼しくなり、秋の風も感じられるこの頃。見上げてみると、夏とは表情を変えた空にはおもしろい雲が見られます。高く澄んだ空に浮かぶ雲は何に見える? 外遊びにもいい季節、空を見上げながら、そんな親子の会話を楽しむ際の豆知識を紹介します。

秋の空は“高い”?

秋の前半は秋雨や台風の多い時期ですが、それを過ぎた10月頃からは、大きな移動性高気圧が日本列島を覆い、安定した晴れの日が多くなります。秋の好時節を「天高く馬肥ゆる秋」と言ったりしますが、「天高く」とは、空が澄み渡って高く見えるという意味。

空が高く見える理由は2つあり、1つは、空気が乾いているため空が澄んで見通しがよく、青色がくっきり見えるから。そして2つ目は、秋によく発生する“すじ雲”や“ひつじ雲”は高い位置にできるからです。

何に見える? 代表的な“秋の雲”

秋によく発生し、秋らしい印象を与える代表的な雲を3つ紹介します。

巻雲 (すじ雲)

「けんうん」と読みます。澄んだ青のキャンバスにハケでサーっと描いたようなこの雲は、すじ雲とも呼ばれます。鳥の羽根のようにも見えますね。

上空に偏西風が吹くようになると、高度の高いところにある氷の粒が落ちるときに風に流されて、すじ状の巻雲になります。高度5000〜1万3000km程度と、雲の中でも最も高いところにでき、空気が澄んでいる秋に見やすい雲のひとつです。まず真っ先に秋の訪れを教えてくれるのがこの巻雲です。

巻積雲(いわし雲/うろこ雲/さば雲)

「けんせきうん」と読みます。薄い雲がたくさん集まって群れをなしているように見え、規則正しく並ぶことも多いため、いわしの群れや、魚のうろこに例えて「いわし雲」、「うろこ雲」と呼ばれます。縞模様になったものは「さば雲」と呼ぶこともあり、これらは秋の季語にもなっています。

ほとんどが氷の結晶で構成されていて、高度5000〜13000mに現れます。雲の層が薄く太陽の光が透けるため、影ができないことが特徴で、雲一つひとつが真っ白に見えます。ほんの少しだけ発生するものや、空を覆うように発生するものがありますが、青空はもちろん、夕空にも美しい雲です。

うろこ雲は低気圧や秋雨前線が近づいているときに現れることが多いため、天気が下り坂で雨が降る前兆とも言われます。

高積雲(ひつじ雲)

「こうせきうん」と読みます。巻積雲より大きめのかたまり状の雲が集まって、群れになっているのが特徴。雲の層が厚いため影ができやすく、グレーがかって見えることもあります。規則的に並ぶ様を羊の群れに例えた「ひつじ雲」や、「まだら雲」と呼ばれます。高度5000m前後と巻積雲よりも低い空に浮かびます。

ひつじ雲も巻積雲などと同様に、低気圧や秋雨前線が近づいているときに現れる傾向があります。そのため、この雲を見かけたら天気が崩れる前兆かもしれません。

うろこ雲(巻積雲)とひつじ雲(高積雲)の見分け方

一見似ている2つの雲ですが、発生する高さが違うということは、地上にいる私たちからの距離も異なってきます。そのため、見かけの大きさである程度判断することができます。

手を伸ばして、小指または人差し指を1本立てます。雲の塊が人差し指からもはみ出してしまうようであればひつじ雲(高積雲)、小指に隠れる程度の小ささであればうろこ雲(巻積雲)といえます。

雲の形や天気図などを詳しく調べてみよう!

秋の空に見られる雲を写真に撮って、インターネットなどで調べてみると、知識がさらに広がります。天気図や雲の種類、雲の動きなどについて知ることができる、おすすめのサイトを紹介します。

気象庁|はれるんランド 学習コーナーはれるん研究室

vol.7「空の不思議」は“雲はどうやってできるか”、“雲の種類”などをわかりやすく知ることができ、おもしろいです。また、「質問コーナー」では、子どもの疑問への答えがわかりやすく説明されています。

気象庁|はれるんランド

日本気象協会|tenki.jp

各地の気象情報や雨雲の動きなど、天気に関する情報が満載。過去の天気もさかのぼって確認することができるので、観察した雲と天気を照らし合わせることができます。

日本気象協会|tenki.jp


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参考:空を見上げてみよう。秋の空、秋の雲ってどんなもの?/Calendia 【秋の雲は何種類ある?】子どもに教えたい特徴や見分け方を解説!/こそだてまっぷ 秋の雲 うろこ雲とひつじ雲を見分ける方法/ウェザーニュース


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まとめ

秋は雲の流れや時間による色の移り変わりで、空の表情が豊かに変化します。「あの雲は何に見える?」なんて会話から、子どもの情緒や想像力を育てることができるかも。散歩やお出かけに気持ちのよい季節、ぜひ、親子で空を見上げて、秋の雲を観察してみてください。 文/Ai Kano

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