児童虐待への対応や連携 教育関係者向け研修会

 児童虐待が確認された件数や相談件数が栃木県内でも増加傾向にある中子どもの支援や連携の在り方について考えようと12日、教育関係者向けの研修会が開かれました。この研修会は子どもの命や人権を守るため児童虐待やヤングケアラーといった子どもの人権を取り巻くさまざまな課題とその対応について理解を深めようと県教育委員会が開いたものです。

 オンラインでの開催は3回目で幼稚園や保育園の関係者のほか小中学校や特別支援学校などの教職員およそ300人が参加しました。こども家庭庁によりますと、子どもが親などから虐待を受けたとして全国の児童相談所が相談を受けて対応した件数は、昨年度、21万9千件余りで過去最多となりました。また、県内では児童相談所と市や町が児童虐待の相談を受けて対応した件数は、昨年度、3457件と3年ぶりに増加に転じ過去2番目の多さとなっています。児童相談所の対応を種類別にみるとひどい暴言や無視といった心理的虐待が829件で全体の半数を占め、性的虐待が過去最多の35件となっています。研修会で県教育委員会の担当者は児童虐待を未然に防ぎ早期に発見するためには子どもの表情や言動、外見など、さ細な変化や不自然さを見逃さないこと、それに、子どもの様子を学校や家庭で複合的に観察できることが重要だと述べました。

 このあと開かれたパネリストによる意見交換で学校関係者は虐待が疑われた場合の対応のポイントは性被害など虐待の種類に応じて対応スピードを変えること、そして児童生徒の心のケアが大切だと述べました。また、虐待を通告したあとの保護者と話を進める際のポイントは保護者の現状や気持ちに寄り添いながら虐待は行ってはダメと理解させることが重要だということです。
 
 研修会ではこのほかことし4月に施行された県ケアラー支援条例を踏まえ参加した教職員などへヤングケアラーについて正しい理解を促しました。県内の市や町の児童虐待に関する相談窓口は「こどもほっとライン」。全国共通の児童相談所虐待対応ダイヤルは「189」いちはやくまで。

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