「乳がん」治療に新技術!

女性のがんでもっとも多いのが「乳がん」で、今や9人に1人がかかると言われています。その放射線治療で、患者の負担を軽減する最新の技術を使った治療が、広島で始まりました。

■広島市民病院 放射線治療科 松浦 寛司 主任部長

「短い期間でも患者さんの生活の質を何とか保って、楽しく治療を受けていただきたい」

広島市民病院です。放射線治療のシステムに導入したこの機械は、立体物を取り込む「3Dスキャナー」と、赤外線に反応する「サーモグラフィーカメラ」を内蔵…。放射線照射での、患者の負担軽減が期待されています。従来は、患部に正確に放射線を当てるため、人の力に頼りながら患者の体を動かし、数分間をかけて位置を合わせていました。更に、患者の体に直接インクで印をつけて目印にしていました。それを治療の期間中つけたままにする為、下着や服が汚れたり、首元が見える服を着にくくなるなど、患者の負担は軽くありませんでした。一方、新たに稼働するシステムでは、「3Dスキャナー」が体の輪郭を即座に読み取り、事前に作成していた治療計画に沿って、ボタン一つで自動的に体の位置を合わせます。その間、わずか十数秒…。

■広島市民病院 放射線治療科 松浦 寛司 主任部長

「短時間で治療が終えられるということ、皮膚マーキングをしないことで精神的な負担も減るということで、体に優しい。そして心にも優しい治療が提供できることが利点だと思います。」

このシステムを使っての初めての治療。丁寧な説明で、理解を促します。

■広島市民病院 放射線治療科 松浦 寛司 主任部長

「完全に印なしで位置を合わすことができるので、治療中もお風呂、銭湯、温泉に行きやすい」

■患者・60代

「初めてなので不安とか緊張はあるけど、先生が言われる通りにやっておけば安心だと思って前向きに考えています。」

広島市民病院での乳がんの手術は、年間おそよ500人。このうち、術後に放射線治療を受けるのはおよそ180人。治療の負担軽減は、多くの人に欠かせません。照射中はサーモグラフィーカメラも駆使し、体の動きを検知します。治療室に入って数分で、1回目を終えました。

■患者・60代

「あまりにも早くてスムーズに行ったので反対に驚いています。難しく考えていたけど、今やり終えて、すごく楽だったのでこれなら大丈夫かなと思っています」

■広島市民病院 放射線治療科 松浦 寛司 主任部長

「広島の中で乳がん患者さんが多い施設としては、こういうことをどんどんアピールしていくことで、良い治療があるなっていうことが広がっていけばいいかなというふうに思います」

負担は3割負担で1回あたり450円。数週間の治療が原則ですが、最先端の技術が患者の負担を和らげ、生活の質を高めてくれるはずです。

【2023年9月13日 放送】

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