ドイツとトルコに連勝の陰で…「試練の時」を迎えている日本代表5名

日本代表の9月シリーズは、ドイツに4-1、トルコに4-2という結果で終わった。

1年ぶりの欧州遠征でチームが結果と収穫を手にした一方、課題が多く残った選手もいた。今回は「試練の時」を迎えている5名を紹介する。

シュミット・ダニエル

トルコ戦、前半終盤に中村航輔が負傷したことでピッチに立ったシュミット・ダニエル。

試合でのプレーに大きな問題はなく、高さやフィード力など強みを発揮したが、一方でアクシデントがなければ6月シリーズに続き「2戦連続出場なし」に終わっていた可能性は否定できない。

今夏のステップアップがうまくいかず、まさかのシント=トロイデン残留となってしまった。これまでのようにクラブでの成長を代表に繋げようにも、ここ2試合はU-22日本代表の鈴木彩艶が先発。控えにもヨー・コペンスが入っている。

現在31歳。この状況が再び移籍市場が開く冬まで続くようだと代表落ちも見えてきてしまう。

橋岡大樹

トルコ戦ではセレッソ大阪DF毎熊晟矢が質の高い攻撃参加を見せ、アシストを記録するなど強烈なインパクトを残した。

その毎熊に代わり後半から出場した橋岡大樹は、相手が前がかりになる難しい状況でのプレーを余儀なくされたが、それを跳ね返すだけの力を見せられなかった事実は残る。

右サイドバックではすでに菅原由勢が確固たる地位を築きつつあり、さらには毎熊が台頭。インナーに入るのが得意ではない橋岡と彼らの間には“ギャップ”もある。

橋岡もシュミットと同様、今夏シント=トロイデンからステップアップできなかった。今後の成長という意味でも先が見通しにくい状況にある。

田中碧

カタールワールドカップで勝利したドイツ戦とスペイン戦、両試合に先発していたのは遠藤航でもなく守田英正でもなくこの男だった。

あれから10ヵ月が経ち、クラブでの状況が良くないこともあってか3月シリーズに続き代表で好パフォーマンスを見せることはできなかった。

試合勘やゲーム体力が足りないことは弁護できるが、強みであったはずの判断力と技術にぐらつきがある点は見逃せない。特に「縦を見せる力」が落ちている。

下の世代を見ても現状層が厚いとは言えないポジション。だからこそ田中には遠藤や守田と競争する責任がある。

森保一監督がトルコ戦で田中にキャプテンマークを託した意味は、決して小さくない。

堂安律

6月シリーズから日本代表の10番を背負う堂安。それだけに今の状況を歯がゆいだろう。

現状としてはどこか昨年の原口元気と被り、より総合力の高い選手へ成長したことで、役割がある程度明確な4-2-3-1ではどこのポジションでも“惜しい”選手となりつつある。

昨季不動のレギュラーだったフライブルクでも今季ここまで先発は1試合。残り2試合は途中出場となっている。

2列目にタレントがひしめく今の代表で輝くためには「堂安にしかできないこと」が必要。10番の価値はそれを見せられるかどうかにかかっている。

古橋亨梧

先発フル出場したトルコ戦はおそらく古橋の代表キャリアで最も持ち味を発揮できた試合だろう。それだけにノーゴールという結果は痛恨だった。

久保建英や伊東純也のスルーパス、前田大然のクロスなどいくつもの決定機を得ながら、相手の寄せに屈しボールをゴールマウスに入れることができず。

守備面でも、久保と基本的に縦や横の関係だったためプレッシングの量だけでなく寄せ方や立ち位置の質の差が目に付いた。普段プレーしている環境の違いは否めない。

近いタイプの上田綺世がドイツ戦で攻守における成長を見せたことを考えると、今回のFW4人で今後「誰を外すか」となった場合、最初に古橋の名前が挙がる可能性は現状高い。

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それを回避するためには、とにかくゴールが必要。以前も書いたように「一度のチャンスでも決めきること」が古橋には求められる。

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