【中国】京東集団が首位を維持[経済] 中国民間企業トップ500社

中華全国工商業聯合会(工商聯)が12日発表した中国民間企業の2023年版の全国トップ500社で、インターネット通販の京東集団(JDドット・コム)が2年連続の首位となった。同ランキングは22年度の売上高を基にしており、京東は1兆462億3,600万元(約21兆2,000億円)で、唯一1兆元の大台を超えた。新型コロナウイルスの影響があった中でも、500社を合わせた売上高は順調に伸びた。

調査は25回目で、売上高5億元以上の企業を対象に調べた。今回の対象は8,961社。全体のランキングのほかに、製造業の上位500社、サービス業の上位100社を発表した。

京東の売り上げは前年比で9.9%増加。サービス業の民間企業ランキングでは3年連続でトップとなった。

全体2位は電子商取引(EC)大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)系の阿里巴巴(中国)で、売上高は8,645億3,900万元。京東は2位を2割以上上回った。

全体の3位は石油・石炭・その他燃料加工などの恒力集団(6,117億5,675万元)、4位は非鉄金属メーカーの正威国際集団(6,087億6,036万元)、5位は化学原料・化学製品の浙江栄盛控股集団(5,796億1,835万元)。恒力集団は製造業の民間企業ランキングで首位を維持した。

通信機器の華為技術(ファーウェイ)傘下の華為投資控股は今回の調査対象に入らなかった。前年は5位で、21年版の首位から順位を落としていた。米国の対中半導体規制を背景とするスマートフォン事業の不振が順位に響いていた。

上位10社に入った企業の業種はインターネット関連、石油・石炭加工、非鉄金属、化学原料・化学製品、IT、不動産、自動車。自動車業界では比亜迪(BYD、4,240億6,064万元)が最上位だった。

上位500社のうち、第2次産業の企業は359社で、前年から17社増えた。第1次産業は4社、第3次産業は137社。企業の所在地域は多い順に浙江省(108社)、江蘇省(89社)、山東省(52社)、広東省(50社)となった。

売上高が1,000億元以上だったのは95社で、前年から8社増加。うち2,000億元以上は33社、3,000億元以上は17社、4,000億元以上は12社となった。

上位500社に入るために必要な売上高は275億7,849万元で、前年と比べて約12億1,100万元増加。10年前の13年版(91億2,200万元)から3倍に増えた。

製造業のランキングに入るために必要な売上高は約19億4,400万元増えて145億1,598万元、サービス業のランキングは約12億9,000万元増の314億432万元だった。

■R&Dに積極的

500社を合わせた売上高は前年比3.9%増の39兆8,329億元。13年版(13兆2,122億元)の約3倍となった。純利益は前年比4.9%減の1兆6,438億元で、減益は2年連続。コスト高や資産減損の計上などが響いたとみられる。純利益は1位のインターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が1,156億元で、2位以下を大きく突き放した。不動産開発の万科企業が375億元で2位、中国民生銀行が357億元で3位となった。

500社による22年の輸出額は12.6%増の2,763億6,400万米ドル(約40兆7,300億円)。国内の輸出総額に占める割合は約7.7%となり、前年から約0.4ポイント上がった。

500社のうち188社が22年に海外投資を行い、前年から47社減った。

500社の総資産は11.2%増の46兆3,075億元だった。資産が1,000億元を超えたのは86社あり、前年から2社減少。首位は中国民生銀行の7兆2,556億元。13年の総資産は約11兆227億元で、ここ10年で急速に膨らんだことになる。

22年末時点の500社を合わせた従業員数は前年末比0.3%増の計1,097万2,100人だった。うちBYDの従業員数は500社最多の57万100人で、1年間に28万人以上増やした。

研究開発(R&D)に積極的な姿勢も見て取れ、全従業員に占めるR&D人員の割合が3%を超えたのは326社で、中でも175社は10%以上。R&D費用が売り上げの3%を超えたのは86社で、8社は10%以上だった。R&D費用が最大となったのは騰訊の614億元で、アリババが538億元、ネット検索の百度(バイドゥ)が233億元、自動車大手の浙江吉利控股が224億元で続いた。

■市場変化でイノベ強化

500社に22年に直面した問題点を聞いたところ(複数回答可)、「産業チェーン・サプライチェーン(供給網)のリスク拡大」が全体の51.6%を占めてトップ。「IT分野の競争激化」(44.2%)や「反グローバル化による打撃」(34.2%)、「自社のイノベーション、人材、管理分野の不備」(32.2%)が上位に並んだ。

市場・環境の変化に応じて企業の発展戦略の調整に乗り出したのは419社。具体策は「イノベーションの強化、中核技術・部品の開発加速」(75.2%)、「実業・本業の強化によるリスク緩和」(74.0%)、「業務などのデジタル化実施、新業態・新営業モデルの構築」(72.8%)、「投資拡大による自社事業の構成見直し」(59.8%)など。

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