「家族」「兄弟」徳勝龍の引退、大学の同期・宝富士(青森・中泊町出身)惜しむ

 大相撲秋場所3日目の12日に現役引退を発表した元幕内徳勝龍(37)=本名青木誠、奈良県出身、木瀬部屋=が13日、東京・両国国技館で記者会見した。前頭12枚目の宝富士(青森県中泊町出身)と、元幕内の徳勝龍は、近大同期で初土俵も同じ2009年1月。宝富士が相手を「家族」と言えば、徳勝龍は「兄弟のような存在」と通じ合う。

 近大で伊東勝人監督(五所川原市出身)の指導の下、力を付けた。20年近い付き合いだ。

 徳勝龍は会見で「4年間稽古も授業も一緒。大相撲では別々の部屋となったが『頑張ろう、頑張ろう』と励まし合ってきた。全てが思い出」と懐かしんだ。宝富士は引退発表のあった12日、「悲しく、寂しい。顔を合わせるだけで笑顔が出たり、冗談を言い合ったりして元気が出る仲だったのに…」と残念がった。

 伊東監督急逝直後の20年初場所、平幕優勝した徳勝龍を「同級生として誇り」と言う宝富士。徳勝龍は、現役トップで歴代7位の幕内連続出場記録の宝富士を「幕内でずっと活躍しているのはすごい」と互いに認め合う。

 13日の幕内土俵入りでは、近大の化粧まわし姿で花道を引き揚げる宝富士と、見守る徳勝龍が視線を合わせ、自然に笑みをこぼす一幕も見られた。

 この日宝富士は、やはり昭和61年度生まれで「花のロクイチ」と言われる同学年の妙義龍を相手に、攻めたものの後ろに付かれ黒星。「詰めが甘かった。負けたくなかった」と悔しそう。取組後「40、50歳まで現役ができる」と太鼓判を押した徳勝龍の言葉に「50歳は無理」と少し頬を緩ませた。

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