【MLB】「史上最高の打者」デービス・シュナイダーを知っているか?

写真:実はMLB最高の打者?ブルージェイズのデービス・シュナイダー

MLBで最高の打者と言えば誰だろうか?と聞かれれば色々な名前が上がるだろう。そして、今あなたが思い浮かべたのとは(おそらく)まったく違う選手を取り上げたのが、データサイト「Fangraphs」のライターであるベン・クレメンス氏だ。

その選手の名はデービス・シュナイダー。今季MLBデビューを果たした24歳の選手だ。彼は今年の開幕時点でブルージェイズの戦力構想に入っておらず、そもそもAAA級にすら昇格していなかった。MLBではまだわずか106打席しか立っていない。そんな選手が最高の打者だと言われて、誰が信じるだろうか?

しかし、クレメンス氏によれば、シュナイダーはある限られた条件において、これまでのどのような選手よりも優れた成績を残している。どういうことなのか、詳しく見てみよう。

そもそも、現在のシュナイダーの成績を知らない人は多いだろう。まずはその点から見ていこう。シュナイダーはここまで26試合に出場し、106打席で打率/出塁率/長打率が.353/.481/.776(クレメンス氏が執筆した23試合時点では.370/.511/.808)。

彼がMLB昇格した8月4日(現地時間)以降という区切りで見れば、これは100打席以上に立った選手の中で最高のOPSだ。フリオ・ロドリゲス(マリナーズ)やトレイ・ターナー(フィリーズ)、ムーキー・ベッツ(ドジャース)といった強打者たちも、この期間だけを見ればシュナイダーに及ばない。

ただ、この成績をさまざまな条件が異なる中で比較するのは変な話だ。現状シュナイダーを下回っている選手たちであっても、以前にはシュナイダーを上回る「瞬間最大風速」を記録していた可能性もある。そこで、クレメンス氏はすべての選手について、OPSが最高だった23試合を抽出し、シュナイダーと比較した。

これを見ると、シュナイダーのOPS1.319は歴史上最高の成績となった。ちなみに有名どころではアルバート・プホルス(元カージナルス)やヨーダン・アルバレス(アストロズ)も10位以内にランクインしているが、どちらもシュナイダーには遠く及ばない。ここまでの「瞬間最大風速」という意味では、シュナイダーは紛れもなく史上最強の打者と言えるのだ。

なお、シュナイダーの登場以前に23試合区切りで見た時の「史上最高打者」だったのはマンディ・ブルックスという選手だ。おそらく、聞いたこともない選手だろう。それも当然、ブルックスがこの記録を達成したのは1925年。しかも、彼はわずか2年間プレーしたのち1926年にはMLBから姿を消してしまっている。なぜ彼がMLBの表舞台から消えたのかは定かではないが、少なくとも一つ確実に言えることがある。ブルックスはこの「瞬間最大風速」を除けば、通算OPS.660。凄まじい成績を残した23試合以外では、非常に平凡な打者だったのだ。

さて、今後シュナイダーはどうなるだろうか?プホルスやアルバレスになるのか?それともブルックスのようになるのか?クレメンス氏の言葉を借りれば、「それこそわからない。だが、それが野球の素晴らしいところだ。ただ、その結果が出るまで我々には待つしかない」。

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