【MLB】エンゼルスに残った「数少ない収穫」 ルイス・レンヒーフォは何を得たか?

写真:故障で今季残り試合の欠場が決まったエンゼルスのレンヒーフォ

故障者の続出に苦しむエンゼルスを、再び不幸が襲った。今季複数ポジションを守りながらも結果を残してきたルイス・レンヒーフォが上腕二頭筋断裂で故障者リスト入りしたためだ。スポーツニュースサイト「ジ・アスレチック」のサム・ブラム記者によればレンヒーフォは今シーズン絶望。すでに来季のキャンプに向けて準備を進める方針だという。

相次ぐ主力の故障に補強の失敗、そしてセプテンバーコールアップを前にして補強した選手を放出と、もはやすべてを失ったようにさえ見えるエンゼルスだが、数少ない収穫の一つをあげるならレンヒーフォの活躍ではないだろうか。

昨年レギュラーに定着したレンヒーフォだったが、シーズンを通しての成績は511打席でOPS.723。リーグ平均レベルには達していたものの、決して優れた成績ではなかった。少なくとも、昨季のままであれば積極的な補強を進めるエンゼルスにあって、レギュラーを維持し続けることはできなかっただろう。ポジションがかぶるブランドン・ドルーリーの加入やザック・ネトらの台頭などによって大きく出番を減らしてもおかしくなかったと言える。

ただ、現実にはそうはならなかった。レンヒーフォは今季ここまで126試合、445打席でOPS.783。平均を100とした時の打撃貢献を示すwRC+は113と、平均を大きく上回るバッティングを見せ、ポジションを幾度となく変えながらもレギュラーを維持し続けた。多くの外圧が加わる中、見事自分が掴んだポジションを守ってみせたのだ。

そんなレンヒーフォだが、実際にはどのような点で成長が見られたのだろうか。MLBのデータサイト「Baseball Savant」のデータなどをもとに見てみよう。

最も大きく変化したのは四球を選ぶ能力だ。昨季のレンヒーフォは打席に対する四球の割合(BB%)が」3.3%で、30球団の規定打席到達車中最低。とにかく四球を選ぶ能力がなかったようだ。しかし、今季のレンヒーフォはここまで9.4%と概ねリーグ平均レベルで四球を選ぶことができるようになった。これは大きな進歩と言えそうだ。

ただ、このように急に四球が増える打者に多いのは、「打席でのボールを待つ姿勢を変えた」というパターンだ。「今まで初球から積極的に振っていた」打者が「四球を選ぶために追い込まれるまではいい球を待つ」というスタイルになって、四球は増えたが三振も増えてしまった、ということも珍しくない。つまり、トータルで見ればあまり成績が向上していないパターンだ。

ただ、レンヒーフォに限って言えばそのようなことはなさそうだ。まず、初球スイング率は2022年が40.3%に対して今季は41.1%。MLBの平均は30%前後なので、2年連続で積極的なスタイルを維持している。一方で、ボール球をスイングした確率は2022年の34.9%から28.7%に下がった。初球からスイングするスタイルは維持しつつも、ボール球の見極めを向上させたことが、四球増加につながっているようだ。

ほかにも打球速度が改善するなど打撃面での成長が見えるレンヒーフォ。多くの主力を放出しチームの立て直しを図るエンゼルスにあって、様々なポジションを守ることができる器用さと平均以上の打力を兼ね備えている点は大きな武器になるかもしれない。

© 株式会社SPOTV JAPAN