【防災プロジェクト】オキッパカメラとは?

廿日市市の平良地区では大規模な造成工事が行われています。観光や交流の新たな拠点として、宿泊・温浴施設や飲食店などを整備する計画で、2029年の開業を目指しています。造成工事を手がけるのは、総合建設業の西松建設です。防災に役立つアイテムを開発し、現場に設置したと聞き、見せてもらいました。

■西松建設 事業推進部 永山 智之 担当課長

「あちらがですね、OKIPPAシリーズの最新作、オキッパカメラでございます」「オキッパカメラ!」

設置されていたのはカメラ。何を写しているのかというと。

「こちらの下の河川の水位を見ております。」

「あ、この水が流れている所の水位ですか?どうしてこちらで今監視をされている?」

「こちらは弊社が上流側で工事をやっております。大きな造成工事ですので、雨が降った場合に、流末(下流)で水位が上がっていないか監視するためです。下流側のみなさんに防災的にも安心していただけるように弊社の方でカメラを設置しました」

川幅が狭く、水位が上がりやすいため、”もしも”に備えた監視です。太陽光で発電する完全自立型で昼夜を問わず24時間稼働しています。開発のきっかけは、過去の大規模災害の時に直面した現場確認の難しさでした。

■西松建設 事業推進部 永山 智之 担当課長

「なかなかそこ(現場)に辿り着くまでどうしても時間がかかってしまう。それをなるべくなくしたい。あと安全に工事もしたい。そういうなかでカメラを見ることによって即時現場の様子が分かるという声を多く聞きましたので、こういう開発に至りました。」

このカメラは他のOKIPPAシリーズの機器と連動することで、力を発揮します。

「OKIPPA」シリーズは、その名のとおり”置きっ放し”で周囲のデータを観測します。第一弾の「OKIPPA」は地表の傾きを常時監視し、土砂崩れなどの異変があればいち早く知らせてくれるシステムです。工事現場のほか山の斜面に近い県内の団地でも設置が進んでいます。そして、次に開発したのが「OKIPPA Green」。気温や湿度のほか雨量を観測することができます。

■西松建設 事業推進部 永山 智之 担当課長

「先ほど見ていただいたカメラと連動いたしまして雨量が異常値になった際に自動で先ほどのカメラが起動し、水路の写真を撮ってくれます」

15分ごとに観測する雨量が一定の値を超えると、遠隔でオキッパカメラが写真を撮影。スマートフォンやタブレット端末にリアルタイムの様子が送られてきます。雨にみたたて実験してみました。

「こちらのオキッパグリーンが通信をしてクラウドに送ります。異常があった場合には先ほどのカメラの方に撮影指令を出します」

「じゃあ今この下流の方では撮影が行われているということになるんですか?」

「はい」

すると、1分も経たないうちにメールが届いてカメラが設置された場所の様子を確認することができました。

■西松建設 事業推進部 永山 智之 担当課長

「早く現地を確認できますので、そういった意味では迅速な対応も可能になるかと思います」

また、大雨災害は時に、短時間で急激に危険が高まるので、周囲の状況を確認しようとして巻き込まれるケースが後をたちません。「OKIPPACamera」はそういった被害を防ぐことにもつながるといいます。

■西松建設 事業推進部 永山 智之 担当課長

「オキッパカメラがあれば現地の状況は分かります。次の対策が、なにが必要かということもできますので、現地に行きたい気持ちは抑えていただいて、みなさんの安全が守られるということを最優先に考えていただければこのカメラも活躍できるシーンがもっと増えるんじゃないかと思います」

【2023年9月14日 放送】

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