「軍艦島」保全、日本の対応承認 ユネスコ、「不十分」決議一転

「軍艦島」と呼ばれる長崎市の端島=8月

 【リヤド共同】サウジアラビア・リヤドで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は14日、長崎市の端島(通称・軍艦島)を含む文化遺産「明治日本の産業革命遺産」(長崎など8県)の保全状況を審査し、日本の取り組みを認める決議を採択した。日本の対応を「不十分」とした2021年の委員会決議から一転した。その上で韓国など関係国との対話継続を促した。

 ユネスコ諮問機関などは、遺産の全体像を説明するために政府が設けた産業遺産情報センター(東京都新宿区)に、犠牲者を追悼するコーナーを新設するなど戦時徴用を巡る展示を充実させたことを評価した。

 決議では、さらに調査や検証を行い、今後の取り組みについて24年12月1日までに報告するよう求めた。

 産業革命遺産は15年に遺産登録されたが、その際に韓国は軍艦島の炭鉱などで朝鮮半島出身者が強制労働させられたとして抵抗。日本は「犠牲者を記憶にとどめるために適切な対応を取る」と表明した。

ユネスコ世界遺産委員会で行われた、日本などの登録済み遺産の保全状況の審査=14日、サウジアラビア・リヤド(共同)

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