朝乃山激闘も3連敗 大相撲秋場所

  ●1分超の取組、大関霧島に屈す

 大相撲秋場所(両国国技館)5日目の14日、西前頭2枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は1分を超える激闘の末、東大関霧島(陸奥部屋)の外掛けに屈した。3連敗を喫し、休場を除き復帰後初めて黒星先行で中盤戦に突入することになり「まだまだある。明日に向けて準備して取り組むしかない」と自らを鼓舞した。6日目は豊昇龍(立浪部屋)と組まれ、大関3連戦の最後の一番に臨む。

 朝乃山は立ち合いでもろ手突きを受けて組めなかった。「大関の形にさせてしまった」と言う通り、突き、押し合いから左上手を許してしまう。息をのむ攻防が続くが、徐々に霧島が有利な体勢になると、頭をつけられ、左外掛けにあおむけに倒れた。痛めている左上腕を打ちつけ、しばらく立ち上がれなかったが「大丈夫」と話した。

 土俵下の浅香山審判長(元大関魁皇)は「互いに攻防があった。霧島が厳しい相撲で朝乃山の形を窮屈にした。見応えがあった」と熱戦をたたえた。

 先場所は新大関だった霧島を素早い攻めから豪快なすくい投げで転がしたとあって「あれぐらい速い相撲でやりたかったけど、そううまくはいかない」と悔しさをにじませた。

 取組後、支度部屋に戻ってきた朝乃山は終始、厳しい表情を浮かべたまま。これまでは黒星を喫しても、時折笑顔を見せるなど、気落ちせずに前向きさを保っていた。この日は表情が緩むことはなく、口数も普段より少なかった。

 3連敗を喫するのは大関だった2020年秋場所以来、3年ぶり。この場所では初日から3連敗した後、10連勝して10勝5敗で終えた。中盤戦からの巻き返しに期待が掛かる。

 6日目は今場所初めて結びの一番の土俵に上がり、豊昇龍に挑む。過去は2連敗しており、勝ったことがない相手だ。先場所は豊昇龍戦で左腕がきまった形になり、左上腕二頭筋を部分断裂するけがを負い、苦い思いもした。「思い切っていくだけ」。大関3連戦を白星で締めることができるか、厳しい闘いに向かう。

  ●「いい相撲だった」横審委員長

 本場所総見した横綱審議委員会の山内昌之委員長は「朝乃山は負けはしたけど、いい相撲だった。元大関の意地と、大関の使命感がぶつかりあって良い相撲。これからに期待したい」と話した。

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