残暑特需で夏物好調 富山県内、行動規制緩和も後押し

日傘が並ぶ富山大和の売り場。右奥にあるのは秋物のストール=富山市総曲輪

 厳しい残暑が続く中、富山県内の小売店ではエアコンや日傘といった夏物商品が9月に入っても売れ続けている。猛烈な暑さに加え、新型コロナウイルス禍からの行動規制の緩和や、省エネ家電への買い替え需要もあり、売り上げは前年を大きく上回る。今週末の3連休も最高気温が30度を超える見込みとなっており、各店は“残暑特需”の取り込みを図る。

 富山地方気象台によると、観測地点の富山(富山市石坂)では今夏、最高気温が35度を超える「猛暑日」の日数が29日となり、過去最多を更新した。9月も連日真夏日となっている。

 こうした中、県内でジョーシンを運営する北信越ジョーシン(立山町利田)では、7~8月のエアコンの売り上げが前年比の6割増となった。電気料金の値上げを受けて省エネ性能を重視する客が多く、20万円前後の高価格帯の売れ行きが特にいいという。

 例年お盆以降は、売り場に置くエアコンを減らして暖房機器に入れ替えていくが、今年は9月に入ってからも売り上げは堅調。前年比2割増で推移しており、売り場を縮小せず「フルアイテム」の陳列を続ける。猿倉孝吉専務取締役は「気温が高いうちは力を入れて販売していく」と意気込む。

 富山大和(富山市総曲輪)では、日傘の売り上げが好調だ。8月は前年比7割増、9月は2倍近い水準と勢いを保っている。暑さに耐えきれず「今すぐ使うから値札を外してほしい」と朝一番に駆け込む客もいたという。現在、売り場にはストールやマフラーなどの秋物も並ぶ。武田信二営業第2部ファッション雑貨課長は「まだまだ需要がある夏物と、季節を先取りした秋物の両軸で提案したい」と話す。

 県内で「サーティワンアイスクリーム」3店舗を運営するサンエツ(同市新屋)では、8月の売り上げが前年より2割増え、待ち時間が30分以上となる日もあった。9月も客足が途絶えないという。

 今夏は行動制限が緩和されたため、手土産や差し入れとして購入する人も多かった。板川信夫社長は「コロナ禍で『プチぜいたく』が浸透したことも売り上げを押し上げた」と分析した。

ジョーシン立山店のエアコン売り場=立山町利田

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