ケーキ屋の夢現実に、15日に富山でオープン 脱サラして特訓重ね

店の看板メニューの「苺ショート」を手に、笑顔を見せる宮森さん

 いつかケーキ屋を開きたい-。宮森雅也さん(51)=富山県立山町前沢新町=はかつて抱いていた自身の夢を実現させようと2年前に思い切って脱サラ。未経験のまま洋菓子店で働き、自宅で特訓を重ねた。15日に念願だった菓子店「CAKE SHOP chito(チト)」を富山市新庄町にオープンさせる。「ケーキで幸せなひとときを提供したい」と新たな一歩を踏み出す。

 宮森さんは大学卒業後、富山大和に入社。27年間勤め、店の飾り付けや催事の企画などを担当した。転機は2020年4月、新型コロナの影響で店が休業したことだ。先が見えず、不安が広がった。そんな時、30代の頃から憧れていた「ケーキ屋」が思い浮かんだ。

 元々、ケーキの見た目の美しさが好きで、よく食べ歩いた。ただ、実際に作ったことは一度もなく、小麦粉の使い方さえ分からなかった。それでも「健康なうちに新しいことに挑戦したい」と21年2月に退職。同年4月から県内の製菓専門学校に通い、洋菓子店でアルバイトも始めた。

 洋菓子店ではケーキの飾り付けを担当。ベテラン社員がケーキを作る姿を間近で見て学んだ。自宅では本や動画を参考にして地道に練習し、国家資格の「製菓衛生師」も取得した。

 オープンする店では自然素材にこだわった旬の果物のケーキや焼き菓子をそろえる。スポンジに富山市茶屋町の「はちみつや」のハチミツを練り込んだり、小麦粉の代わりに同市堀川小泉町の「新村こうじみそ商店」のこうじを使ったケーキを作ったりと、他店とコラボした品も並べる。

 店を構えるのは静かな住宅街にあるアパートの一室。店名の「チト」には、千歳あめのように細く長く続く店にしたいとの思いを込めた。妻の千歳(ちとせ)さんの愛称でもあるという。今月8日には「お披露目会」を開催。宮森さんは「近所の人が気軽に来られる『まちのケーキ屋さん』を目指したい」と話している。

 営業時間は午前10時~午後5時。定休日は火~木曜。

8日に開いた「お披露目会」。千歳さん(左)も手伝った

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