【台風13号】大雨被害1週間 茨城県北復旧、高齢の壁 支援の手、足りない

床上浸水した家の中を片付ける住民=日立市白銀町

台風13号に伴う大雨による大規模な浸水被害の発生から、15日で1週間を迎える。被害が集中した茨城県の日立、高萩、北茨城の3市は、いずれも住民の3人に1人以上が高齢者。ボランティア不足や猛暑も重なる中、県北地域で加速する高齢化が早期復旧の「壁」となっている。

■日立市

中小河川の氾濫で局地的な被害が広がった日立市。

大川が越水し、床上浸水の被害があった同市河原子町の飯田文子さん(83)は14日夕、泥が残る玄関に腰かけ、体を休めていた。机代わりに使っていた臼は、浸水で今も横倒しのままだ。

「滑るからここだけでもきれいにしたいけど、体が動かない」

1人暮らし。自室は浸水を免れたが、床上まで水をかぶった奥の部屋は手を付けられないでいる。「精いっぱいできること」として、14日は洗濯をした。今は「そのうちに」と言われているボランティアを心待ちにする。

氾濫した宮田川に沿う同市白銀町。滝輝美さん(82)は13日、床上浸水した家の片付けを親類や近隣住民に手伝ってもらった。全員が70~80代。ブラウン管テレビなど、重い物は2人がかりでやっとの思いで運び出す。厳しい残暑の中、連日作業しても「なかなか進まない」と嘆く。

市社会福祉協議会によると、市民からのボランティアの派遣要請は1日10~15件。これまで不足していたが、週末にかけて改善されると見込む。

■高萩市

高萩市では関根川と玉川沿いに被害が集中。ボランティアのニーズが高まっている。

床上約20センチまで浸水した同市下手綱の弓野武男さん(88)は「体がめいって、ふらつく」とため息。休日に息子夫婦などの手助けで泥まみれの畳や家財を運び出したが、倉庫や庭の泥かきはまだだ。

14日、市職員にボランティアの派遣を頼むと、「時期は分からない」と言われたという。

同所の70代女性も庭の泥掃除が進まない。「臭いがひどい。暑さで乾いて粉じんが舞う」と不安を募らせる。

市社協によると、ボランティアの要請は109件で、派遣できたのは55件にとどまる。担当者は「派遣を遠慮している人もいるので足りない」と戸惑う。

■北茨城市

北茨城市では14日現在、住宅の浸水被害が474棟と、県内で最も多い。

江戸上川が氾濫し、同市関南町神岡下の女性(79)の家では床上70センチ以上の浸水に見舞われた。「次男と同居しているが、平日は仕事。私一人ではどこから手を付けていいか分からない」と途方に暮れる。

ぬれて重くなった畳を運び出すのには人出が必要。週末にはボランティアが来てくれることになり、「家族だけでは無理なので助かる」と安堵(あんど)した。

市社協によると、14日までに寄せられたボランティアの派遣要請89件のうち、大半は高齢者世帯という。原一治事務局次長(52)は「市民が早く元の生活を取り戻せるよう、協力をお願いしたい」と呼びかける。

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