感性光る具象の美 60年の軌跡たどる 能島征二彫刻展 茨城・水戸

会場で展示作品を解説する能島征二さん=水戸市泉町

日本芸術院会員で日展理事などを務める彫刻家、能島征二さん(81)=茨城県水戸市=の約60年にわたる軌跡をたどる「能島征二 彫刻展」(茨城新聞社主催)が14日、同県水戸市泉町の京成百貨店で開幕した。生命感あふれる女性像など約50点を展示し、具象の人体彫刻を追求してきた能島さんの歩みや、表現の変遷に触れることができる。

同百貨店での個展は8年ぶり。能島さんの創作活動の集大成となる「能島征二彫刻作品集」刊行を記念して開催した。会場で、日展や日彫展に出品した等身・半身のブロンズ像のほか、小品、テラコッタ、旅先の風景を描いた油彩画など多岐にわたる作品を紹介している。

主な展示は、東日本大震災を悼んで制作した女性座像「祈り」や、親子の絆を表現した「愛-平成讃歌」、東京五輪に夢を重ねた「希望の灯(あかり)」など。西洋彫刻を参考に造形を突き詰めた時期から、日本の仏像などを通して内面を考察する試みまで、卓越した感性が光る作品が並ぶ。

同日は開幕セレモニーが行われ、能島さん、沼田安広茨城新聞社長、来賓の大井川和彦知事、高橋靖水戸市長らがテープカットをして祝った。

大井川知事は「際立つ個性を兼ね備えた作品ばかり。今後も本県の芸術文化の先導役として活躍してほしい」とあいさつ。能島さんは「このような場をいただき感無量。精いっぱい、茨城の文化芸術の発展のために力を尽くしていきたい」と感謝した。会期は20日まで。

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