あしたという字は

 女性閣僚5人の登用について「女性ならではの感性や共感力を発揮してほしい」と話すのを聞きながら、その言い方は『女性の役割や特性を固定的に捉えていないか』と批判されないか、と心配していたら案の定…。ともあれ、晴れの認証式から一夜、第2次岸田再改造内閣が本格始動した▲岸田文雄首相は「明日は今日より良くなると誰もが感じられるような国を目指す」と語った。船出の高揚感が言わせた言葉に違いないが、口で言うほど簡単ではなさそう▲“今日より良い明日”の具体例として真っ先に思いつくのは、例えば「子の成長」だが、「結婚や子育ては富裕層のすること」などと悲観的な言説も飛び交うこの国の今だ▲日付が変われば借入金の金利も1日分…そんな経営者もいるだろう。その会社で、従業員の給料は思うように上がるだろうか。「誰もが」のハードルは相当に高い▲〈あしたという字は『明るい日』と書くのね♪〉-首相の言葉を聞いて懐かしい昭和のメロディーを思い浮かべた方もおられるだろう。歌い出しの一節がとても印象的だ▲歌詞には〈『若い』という字は『苦しい』字に似てるわ〉という言葉もあった、曲名は「悲しみは駈(か)け足でやってくる」だ-と書き並べるのは意地が悪すぎるか。新内閣、世論の評価はまだ辛い。(智)

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