季節外れのインフルエンザ流行 去年0人→今年100人超(都内クリニック)

厳しい残暑が続くなか、この時期では異例とも言えるインフルエンザが流行しています。都内のクリニックでは、去年の9月は0人だったインフルエンザの患者数が、今月すでに100人を超えるなど感染が拡大しています。

江東区にあるクリニックでは、8月末から発熱やせきなどの症状を訴える患者が増えていて、この日もインフルエンザの検査を受ける多くの子どもの姿がありました。このクリニックでは9月13日、17人のインフルエンザの陽性が確認されました。

有明こどもクリニック豊洲院 村上院長:「インフルエンザが春に収束せずに夏もずっと出続けるというのは、非常に稀です。ここ10年、初めてだと思います。空気が乾燥し気温が低くなってくると、インフルエンザのウイルスはかなり活発に元気になってしまう。秋冬に向けて患者が増えてしまうのではとの懸念があると思います」

この時期、異例の感染拡大。クリニックでは、去年の9月はインフルエンザの患者はゼロだったのが、9月は14日時点で118人。先月と比べても3倍近くの患者数となっています。

こうした中、東京都は14日、感染症対策を協議する会議で感染増加への懸念を示しました。

賀来先生:「例年12月から3月が流行時期ですが、流行開始の目安である定点あたり1.0人を超える状況が継続しています」

14日に発表されたインフルエンザの感染者数は、9月10日までの1週間で、定点医療機関あたり5.95人。「流行」の目安である1.0人を大きく上回っていて、専門家は基本的な対策の徹底を訴えました。

賀来先生:「感染を広げないためには換気手洗い、人が多いときにはマスクを着用するといった、基本的な感染対策を心がけていただくとともに、早めのワクチン接種を是非とも検討して頂きたいと思います」

東京都の定点観測の報告を見てみますと、週を追うごとに倍、倍と増えていまして、14日に発表された最新の報告数は2481件でした。1つの定点あたり「1」を超えると流行の目安とされていますが、現在は5.95となっています。

新規感染者の半分以上を赤ちゃんから中学生までの子どもが占めていて、取材した村上院長は、感染対策が緩和された夏休みに人の交流が活発になされた後に、新学期が始まったことが感染拡大の要因と話しています。

そしてこの季節外れの流行に関して村上院長は、例年インフルエンザワクチンの接種は10月から始まるので、今の時期は手洗いやマスクなど個人の感染対策で防ぐしかないと話しています。インフルエンザ脳症など子どもでも重症化のおそれがあるので、警戒が必要ですね。

そしてもうひとつ、警戒が呼びかけられているのが、新型コロナです。定点報告の数字を見てみますと、先週よりも少し減少しましたが、先ほどのインフルエンザよりも4000件以上多い報告数となっています。東京都医師会の尾﨑会長は、12日の定例会見で、定点観測から推測すると毎日1万5000人くらいが感染していて、年末の第8波のピークに迫る都内の現状は第9波に入っているという認識を示しました。

こうした中で、来週から自己負担なしの新型コロナワクチンの秋接種が始まります。使われるワクチンは、今までとは違うXBB.1.5対応のワクチンが使われます。東京都医師会の尾﨑会長によりますと、現在都内で流行しているエリスと呼ばれる変異株や、今月初めて国内で確認されたピロラと呼ばれる変異株にも、予防効果が期待できるということです。各自治体で接種に向け準備が進んでいる段階で、接種券が届いたという人もいるかと思います。接種会場や開始日は自治体によって異なるので、お住まいの自治体のホームページなどで確認をお願いします。

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