立川祐路、狙うは『ポール・トゥ・アレ』。NSXやZ勢が有力の中、GRスープラ勢で注目の2台/スーパーGT第6戦SUGO

 シーズン中、もっともウエイトが重くなるスーパーGT第6戦SUGO。次の第7戦からサクセスウエイト(SW)がハーフウエイトとなるだけに、もっともSW差が大きく、本来ならばSWが軽いマシンが有利になる。その軽量組の中で8号車ARTA MUGEN NSX-GT、24号車リアライズコーポレーションADVAN Zが優勝候補に挙げられる中、今回、注目したいのが38号車ZENT CERUMO GR Supraの立川祐路、そして19号車WedsSport ADVAN GR Supraの2台だ。

 今季限りでのGT500クラスからの引退を発表している立川。ランキング12位の38号車は今回のSUGOではSW36kgと軽量で、優勝候補の1台に挙げられる。当然、立川もこのSUGOでの勝利を意識していることは間違いない。

「まあそうですね、アレしたいですよね」と立川。

記者:あれ!?

「実際、去年も調子が良かったですし、レースは雨が来る前まで、序盤はいい展開で進められたので。去年は天候がウチの味方をしてくれなかったので、今年はしっかりとリベンジで、アレしたいと思います」と、続ける立川。

 そう、『アレ』とは前日に見事、リーグ優勝を決めたプロ野球、阪神タイガースにあやかって、流行の言葉を立川も引用したというわけだ。

 もともとは阪神タイガースの岡田彰布監督が『優勝』の言葉を封印して『アレ』と表現したのが言葉の由来。阪神タイガースが今年のチームスローガンを『A.R.E』にして、Aim(エイム/志す)、Respect(リスペクト/敬意)、Empower(エンパワー/力を与える)の頭文字をとったものにしており、由来は岡田監督のフレーズだ。

 立川としては最多ポールポジション獲得記録の更新も期待されているが、ポールとアレ、どちらが望みなのか。

「理想はポール・トゥ・アレですけど、とりあえず目標はアレですね」

 頑なに『優勝』『ウイン』という言葉を避ける立川だが、ある意味、そこには今回に掛ける気持ちの強さが伺える。

 とはいえ、引退を発表してから一か月、2戦のレースを終えて、心境の変化もあったようだ。

「基本的には今まで通りなんですけど、やっぱりところどころで、前の鈴鹿のレースでもその前の富士でも『あっ、これがGTでこのコースを走るの最後になるんだ』ってレース中に思う瞬間があるんですよね。それでまたレースの最後まで全力で走ろうと思うんですよ。なんか、寂しく思う瞬間はありますよね。辞める決断はしましたけど、レースが嫌になったわけでもないし、この前の鈴鹿みたいに上位でバトルとかをしていると、まだまだやりたい気持ちもどこかで出てくる。でもまあ、それはそれで(苦笑)」

 スーパーGT500クラスで最後となるSUGOのレース。立川と38号車はどのような週末になるのだろうか。

ZENT CERUMO GR Supra 立川祐路

 同じく、19号車の坂東正敬監督も、今回のSUGO戦に並々ならぬ意欲で臨んでいる。

「去年、ポールポジションを獲って、スタートで立川祐路選手に抜かれて、そのあと100号車(STANLEY NSX-GT)にも抜かれて、3番手だったんですよね。上位2台は前に行ってしまいましたけど、3番手はキープできていた。最終的に雨が降ってミシュランの2台が前に行ったというレースだったので、路温と気温と天候、それが一番ですよね」と坂東監督

「今回は去年のポールポジションを獲ったタイヤにプラス、ウォームアップがいいタイヤを持ってきているので、去年と同じようなコンディションであれば、というところですね。ですので、『どうかな〜』というよりは(優勝を)完璧に狙ってきています』

  今回のSUGOのGT500クラスでは、8号車ARTA MUGEN NSX-GT、24号車リアライズコーポレーションADVAN Zが優勝候補に挙げられているが、GRスープラ勢では38号車、そして19号車の戦いが面白くなりそうだ。

突然のゲリラ豪風に見舞われた2023年スーパーGT第6戦SUGO搬入日
スーパーGT第6戦SUGO搬入日にメディアの取材に答える19号車WedsSport ADVAN GR Supraの阪口晴南

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