スバルBRZはBoP15キロ増を乗り越えられるか。SUGOで4戦連続ポール獲得の山内は不満漏らさず

 9月16~17日に宮城県のスポーツランドSUGOで行われる2023スーパーGT第6戦。今回の舞台となるスポーツランドSUGOで、2018、2019、2021、2022年とこれまで4大会連続でポールポジションを獲得し、そのうち2勝を挙げている61号車SUBARU BRZ R&D SPORTの山内英輝と、R&D SPORTの小澤正弘総監督に今大会の意気込みを聞いた。

「僕はSUGOが得意なので、たとえサクセスウエイトが重い状況であるとしても、ガンガンとポールポジションを狙っていきたいです」と、気合十分の様子で語る山内。

 今シーズン、開幕2戦はノーポイントと苦戦を強いられた61号車だが、第3、4戦で連続6位、第5戦では3位表彰台獲得と、右肩上がりに成績を伸ばしている。

 しかし、今回第6戦SUGOの参加条件として、61号車のBoP(参加条件)重量が『+65kg』から『+80kg』と15kg増となり、獲得したシリーズポイント分以上の重量増を抱えることになってしまった。この重量増は、4大会連続でポールポジションを獲得し、2018年と2021年にポール・トゥ・ウインを飾っている得意のSUGO戦では受け入れがたい状況のはず。それでも山内は、前戦鈴鹿でポールポジションスタートから惜しくも逃してしまった勝利に飢えている模様だ。

「シリーズチャンピオンを狙うことを考えると、現在の状況として僕らは追い込まれていると思います。(BoPの重量増も含め)今回は結構ウエイトを積んできていますが、それでも僕は勝ちにいきたいです」

「雨も降りそうになってきて今週はコンディションもわかりませんが、サーキットで速いヤツが勝つと思うので、常に集中して頑張りたいと思います。SUGOは決勝のレース距離も300キロと短いので、今回こそは“イケイケゴーゴー”ですね」と、増えた車両重量にも不満を漏らさず気を引き締めた様子で語った。

第5戦鈴鹿ではポールポジションからのスタートも3位フィニッシュという結果に悔しさを語っていた

 では、ドライバーとは異なる目線には今回のBoP調整はどう映っているのか。R&D SPORTの小澤総監督に話を聞いた。

「シーズンの途中で、さらに言うと一番得意なSUGOということを思うと、非常に厳しい裁定だなという印象です。前回の鈴鹿で、そこそこ積んだ状態(33kg)でも結構速く走れていたので、それを見ての裁定なのかな」と語り、その表情と口調からも『なかなか影響が大きそう』というところが実情のようだ。

 これまでに61号車がSUGO戦に臨んだ際の重量を振り返ってみると、最低重量とBoP重量にサクセスウエイト重量を足した総重量は、2021年が1254kg、2022年が1314kg、そして今年が1349kgと年々その車重は増加している。小澤総監督は続けて語る。

「今回は、過去一番の重量でSUGO大会を迎えます。今回は、最も重たかった昨年よりも、さらに35kg重いことになります。ですが、サクセスウエイトで考えると昨年の方が積んでいた(昨年は89kg、今年は69kg)ということを考えると、相対的にはまだ十分戦えると思います」

「昨年のデータの蓄積もあるので、それをベースにしつつも、今年の改良点もさらにプラスアルファでセットアップを決めてきているので、今回も良い戦いができるのではないかなと思います」

 これまでも、ポイントを稼ぐにつれて増えていくサクセスウエイトをも懐柔して幾度となくその速さを発揮してきた61号車。これまで何度も重量増を乗り越えてきたR&D SPORTにとっては、今回の出来事も降って湧いた困難ではない様子だ。タイトル争いを考えても、同地での5大会連続ポールポジション、さらには今季初優勝という結果は喉から手が出るほど欲しいはず。今週末の61号車は、今回の舞台スポーツランドSUGOで何度も披露してきた圧倒的な速さで300kmレースを駆け抜けることができるのだろうか。

2023スーパーGT第6戦SUGO SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)

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