元会長のキス問題に揺れるスペイン女子代表、メンバー発表直前に39名が共同声明で改善要求…21名はW杯優勝メンバー

女子W杯優勝メンバーのうち21名がサッカー連盟に改善要求[写真:Getty Images]

オーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)で見事な初優勝を達成したスペイン女子代表だが、39名の選手が代表招集拒否を改めて発表。スペインサッカー連盟(RFEF)への不満を明らかにした。

【写真】代表引退を表明したクラウディア・ソルノサ

女子W杯の優勝候補だったスペインは、グループステージでなでしこジャパンに4-0で惨敗を喫するなどしたが、最終的にはイングランド女子代表との決勝で勝利し優勝を果たしていた。

近年力をつけ、クラブチームでもバルセロナが躍進するなどしていた中での世界一は大きく喜ばれるべきだったが、優勝セレモニーでRFEFの会長だったルイス・ルビアレス氏がFWジェニファー・エルモソの唇にキス。これが望んでいたものではなかったとなると、世界中で大きな波紋を呼ぶこととなった。

国際サッカー連盟(FIFA)も懲戒手続きをスタート支えた中、ルビアレス氏は会長職を退くつもりはないとし、キスに関しても「合意の上だった」と強く主張。しかし、FIFAからは暫定的な資格停止措置を受けると、エルモソも正式に告訴。性的暴行罪の罪に問われることとなり、固辞していた会長職を辞任していた。

また、以前にも選手たちと問題があったホルヘ・ビルダ監督も解任。RFEFは女子チームに対して改革を行おうとしていた中、15日には新たなメンバーが発表される予定だった。

しかし、39名の選手が共同声明を発表。そのうちの21名はW杯を戦った選手であり、彼女たちはW杯で起こった問題が解決していないことを主張し、改善を要求。悪き習慣となっている寛容さの撤廃や、問題を解決しようとしない態度の改善を求める声明を発表した。

「最新の世界チャンピオンである絶対的な代表チームの選手たちとチームメイトは、2023年8月25日と同様に、女子W杯と女子W杯のメダル授与式で起きた出来事に対する多大な不満を表明したいと考えている」

「その後のRFEFの臨時総会。残念ながら、誰もが見ることができたイベントは、一過性のものではなく、スポーツを超えたものだった。私たちは、これらの行為、私たちの仲間、私たち自身、そして全ての女性に対してゼロ・トレランス(わずかなことでも厳しく罰すること)でなければならない」

「事件から数週間後、私たちはRFEFの様々な会合の開催を公表したいと考えており、その中でスタッフは前に進み、不当な構造に到達するためには不可欠であると理解している変化を、明確かつ力強く表明した。そのような品位を傷つける出来事を容認したり、参加したりすることはない」

「スペイン代表の選手たちは、常に対話に対してオープンな態度を取っており、私たちが当然の敬意を持って最高レベルで仕事を遂行するために必要であると理解している、明確で合理的な理由を伝えようと努力してきた」

「RFEFに対する特定の変更は、REFE内の立場から女性の尊厳に反する態度を取ったり、扇動したり、隠したり、称賛したりした人々に対する、ゼロ・トレランスに基づいている。私たちは、RFEFの指導的立場、特に女子サッカーの分野において、大きな変化が必要であると強く信じている」

「これらの人々は皆、自分たちが守るべきシステムから遠く離れているべきであり、残念ながら先進社会からは遠く離れていることを私たちは理解している」

「上記に基づいて、このような態度が2度と起こらないように、また絶対的な透明性を確保するために、要求する変更を詳細に分類する」

「女子サッカー組織図の再構築」、「会長の組織と事務局の改造」、「RFEF会長の辞任」、「コミュニケーションおよびマーケティング領域の再構築」、「インテグリティ・マネジメントの再編」

「今日、私たちがRFEFに伝えたように、起こった変化は選手たちが安全な場所、女性が尊重され、女子サッカーへの取り組みがあり、私たちが最大限のパフォーマンスを発揮できる場所にいると感じるには十分ではない」

「私たちスペイン代表の選手たちはプロの選手であり、私たちを最も誇りに思うのは、チームのユニフォームを着て、常に国を最高の地位に導くことであることを表明し、この声明を終えたいと思う」

「このため、私たちは、これらの状況や慣行が私たちのサッカーや社会に居場所がないこと、現在の構造を変える必要があること、そして次の世代がより多くのものを得ることができるようにするために、それを示すために戦う時が来たと信じている。平等なサッカー、そして私たち全員にふさわしいレベルのサッカーができるようにするためにだ」

なお、女子W杯優勝メンバーでありながら、今回発表された声明に署名していない2選手がいるが、そのうちの1名であるレアル・マドリーのMFクラウディア・ソルノサが代表チームからの引退を自身のインスタグラムで発表。もう1名は同じマドリーのFWアテネア・デル・カスティージョだった。

また、今回の声明を受け、RFEFはスペイン女子代表メンバー発表を延期。UEFAネーションズ・リーグに参加するためのメンバーだが、来週木曜日(21日)まで延期される可能性がある。

© 株式会社シーソーゲーム