朝乃山「稽古と心技体足りない」 大関陣との差痛感

 「これが今の実力」。元大関朝乃山は、横綱不在の今場所で番付最高位となる3人の大関と対戦し、力の差を痛感した。貴景勝には力及ばず、霧島、豊昇龍とは攻防のある相撲を見せたが、最後は勝利にこだわる気迫と大関の意地を見せつけられた。三役との6連戦で2勝4敗。朝乃山は「稽古と心技体が足りない」と厳しい言葉を口にし、根本から相撲を見直すことを決意した。

 立ち合いが失敗だった。やや呼吸が合わず当たりが不十分で「待ったと思って止まってしまった」。右四つで先に左上手を許し、右ですくいながら切る。左上手を取って寄ったが、引きつけが甘く、土俵際で逆転の右下手投げに裏返った。

 豊昇龍に投げられ、土俵下まで転落した朝乃山は厳しい表情を浮かべたまま花道を引き揚げた。先場所は上手投げで敗れ、左上腕を痛めて休場に追い込まれた。雪辱を期した一番で再び投げ技に屈し、またも苦杯をなめた。

 支度部屋に戻った朝乃山からは「巡業で一緒に稽古し、右からの投げが強い印象があった。それなのに本場所でも食らうのは勉強不足」「師匠にも右上手を取らせないよう言われていた」と反省の言葉が止まらなかった。

 4連敗するのは平幕だった2019年春場所で11日目から5連敗して以来となる。今場所は好内容で初日から関脇2人を撃破したが、その後は黒星が並び「最初の2日間はなんだったんだろう。幻です」と自嘲気味に力なく笑う。

 残す三役はあと関脇大栄翔、小結翔猿で、年内の三役昇進という目標を実現させるためには、これ以上は星を取りこぼせない状況だ。自分の相撲を見詰め直さなければならないと語る朝乃山。「できることを精いっぱいやるしかない」と自らを奮い立たせ、歩みを進める。

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