56年の歴史を持つ大分ラグビースクールが7月の九州大会で準優勝し、きょう16日から行われる中学生ラグビーの全国大会「第14回太陽生命カップ」への出場を決めた。
チーム躍進の原動力となったのは、半年前から行うようになった選手主体のミーティング。「声が出ない、選手間のコミュニケーションが十分でないなどの課題があったが、キャプテンの発案で自主的にミーティングをするようになって変わった。今日は何をするのか、何が目的なのかを全員で共有することで一人一人の意識が高まり、絆も強くなった」と竹尾勝監督。指導の際も押し付けるのではなく、問いかけを増やし、さまざまな選択肢の中から選手が最適なものを選べるよう、サポートしているという。
全国大会の目標は優勝。得意の守備力を生かし、点を取られないラグビーで頂点を狙う。全国での実力は未知数だが、2年生12人、3年生19人は小学6年時に全国の舞台を経験しており、普段通りのプレーができれば十分に勝機はあると踏んでいる。特に中学最後の大会となる3年生の思いは強い。キャプテンの衛藤聡史(3年)は「ディフェンスとチームワークを生かして、全国に通用するプレーをしたい」、バイスキャプテン(副将)でムードメーカーの小西創太(3年)は「積極的に声を出してチームを盛り上げたい。キャプテンを支えるのも自分の役目」と全国へ向け闘志を燃やしている。
取材の日は1年に1度、中学3年生が保護者へ感謝の気持ちを伝える伝統の行事が行われていた。保護者に向け、「送迎、応援ありがとうございました」「高校に行っても頑張るのでよろしくお願いします」など感謝の思いを告げた後、タックルを受け止めてもらい、母親の場合はお姫様だっこをして退場するというもの。感謝の言葉に涙ぐむ母親、我が子の力強いタックルを受け、その成長に目を細める父親。全国大会への意気込みを口にする選手も多く、和やかな雰囲気の中にもラグビーへの思い、親子の絆が感じられるものだった。
保護者、指導者など、支えてくれた全ての人への感謝を胸に、全国の舞台でこれまでの集大成となる力強いプレーを見せてくれるに違いない。
(甲斐理恵)