2026年ワールドカップは灼熱の気候の中で行われる可能性大。解決策はあるのか

写真:マイアミでプレーするメッシもその気候に苦戦? ©Getty Images

カナダ、アメリカ、メキシコで開催される2026年のワールドカップは、灼熱の気候の中で行われる可能性がある。イギリス『BBC』電子版が伝えている。

2026年大会は参加チームが従来の32から48に増え、6月から7月にかけて16都市で104試合が行われる予定となっている。しかし今夏、アメリカは記録的な猛暑にさらされ、全人口の96%にあたる3億1800万人が「猛暑警報」を経験。175都市で少なくとも1週間以上の猛暑日が記録され、45都市で夏の半分以上の日々で異常な高温に見舞われた。

例えば開催都市のダラスやヒューストンを抱えるテキサス州では今夏、27日連続で最高気温が38℃を超え、この暑さによって企業や公園、博物館、動物園といった公共施設の多くが閉鎖を余儀なくされた。

また、同じく開催都市であるフロリダ州マイアミでは、気温に湿度を加えた「暑さ指数」が1カ月以上、38以上を記録した。アメリカ政府は「暑さ指数」が32を超えるとスポーツ活動に「極度の注意」が必要となり、39を超えると「危険」だとしており、マイアミでは「危険」に近い状態が連日、続いたことになる。

今夏インテル・マイアミに移籍したアルゼンチン代表FWリオネル・メッシも「最初は蒸し暑さに慣れるのに時間がかかった」と語っており、厳しい気候だったことをうかがわせている。

また、カナダでも今夏は連日、平均気温を上回る気温にさらされ、その影響から山火事が1000件以上も発生。その煙がアメリカ国内にも流れ込み、18の州で大気汚染警報が発令されて人々は屋内にとどまるよう勧告が出された。

W杯開催都市の中では、カナダのバンクーバーとトロント、アメリカのシアトル、ボストン、フィラデルフィア、ニューヨークが山火事の煙の影響を受けている。万が一、W杯開催期間中に山火事が発生した場合、同様に煙の影響を受ける可能性がある。

また、元イングランド代表FWゲーリー・リネカー氏は、1986年メキシコ大会の際、今回の開催都市の1つでもあるモンテレイで試合を行い、その時のことを「我々は43℃から44℃の気温の中でプレーした。体中の水分が失われて12ポンド(約5.4キロ)も体重が落ちた。後半はめまいがしていいプレーができなかった」と回顧。これを踏まえ、FIFAに対してこう要求している。

「FIFAには気候変動など全般についてもっと考慮してほしい。FIFAは真剣に検討する必要がある」

ポーツマス大学のマイク・ティプトン教授は「最善の方法は開催時期をずらすこと」と語り、ブリティッシュコロンビア大学のマイケル・コーレ教授も「4月、5月、9月、10月に開催されたほうが、選手にとっても観客にとっても混乱を避けることができる」と進言している。

2022年のカタール大会では開催時期が冬に移行された。しかし2026年大会を冬開催にした場合、今度はバンクーバーやトロント、シアトルなどが氷点下の気温に見舞われることになる。そう考えると、コーレ教授が提唱する4~5月または9~10月が理想的な時期と言えそうだが、果たしてFIFAはどのような決断を下すのか。

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