日本航空2人目の女性代表取締役専務 鳥取三津子さん インタビュー 「準備と継続、活水で学ぶ」

「チャレンジ精神のある人材が求められる」と話す鳥取専務=東京都内

 日本航空の6月の株主総会で、長崎県にゆかりがある鳥取三津子さんが代表取締役専務に就任した。同社で女性の代表取締役は2人目。活水女子短大を卒業し、客室乗務員(CA)としてキャリアをスタート。客室本部長などを歴任し、コロナ禍の厳しい経営環境下、人材育成に卓越したリーダーシップを発揮した。社員教育や女性の活躍などについて聞いた。

 -活水で学んだことは。
 早く社会に出たいと思って選んだ短大の中で、活水はすてきな学校だな、と率直に思った。短大であり、2年間の中で講義はびっしり、授業は厳しく、毎日予習が大変。その一方でバレーボール部に入ったので、ほとんど遊ぶ暇はなかった。練習はきつかったが、部活をやり通したことは社会人になってからも自信につながった。仕事に必要な準備と継続の大切さを学んだと思う。
 西日本支社長(執行役員)の宮坂久美子、ミッションディレクターの香取美映子は活水の同期。ミッションディレクターは社長直下で運航を管理するオペレーションの総責任者。地方大学出身でこれだけの同期が社内にいるのは心強い。

 -サービスの中で現場の声をどう生かしているか。
 CAは海外基地を含め約7500人。最近の事例では、CAが着目した「異彩」のアート作品を一部の機内食のスリーブ(紙帯)にあしらってサービスしている。知的障害のある作家らとライセンス契約を結び作品を提供するヘラルボニー(岩手県)という会社と当社の共創が、CAの発案で実現した。

 -客室本部長時代は新型コロナ禍に遭遇した。
 CAは月に2、3日くらいしかフライトがなくなり、手当が減り厳しかった。モチベーションを維持してもらおうと、企業や自治体などへの出向に取り組んだ。自らの意思で新しい分野にチャレンジし、その仕事ぶりに評価をいただいたのは皆の自信にもつながった。出向はピーク時、JALグループ全社でCAを含め約1800人。当時の規模は難しいが、出向は続けたい。

 -女性管理職・役員の登用は企業の課題だ。
 当社は女性管理職を2025年までに30%まで引き上げる目標を掲げている。達成率は23%ほど。ただ達成したとしても、管理職になった後のキャリアプランをどうつくるかが非常に重要。もっと女性が段階を昇って役員に育っていくような下地をつくりたい。

 -ブランドの展望を。
 培ってきた安心と信頼を基に、これからは機内の搭乗だけではなく、あらゆるシーンでお客さまの期待を超える価値を提供したい。みんなが笑顔になるサステナブルで豊かな未来をつくるビジョンを描いている。

 -長崎は「100年に1度の変革」を迎えている。
 久しく長崎は訪れていないが、長崎駅周辺の開発を伝える動画を見て、変化に驚いた。歴史文化に新たなものが加わって素晴らしい町になった。私たちも、多くのお客さまを長崎に運ぶ架け橋になりたい。

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 【略歴】とっとり・みつこ 福岡県出身。活水女子短大英文科卒。1985年、日本航空入社。2019年、客室安全推進部長。20年、執行役員客室本部長。23年4月、専務執行役員、カスタマー・エクスペリエンス本部長、ブランドコミュニケーション担当。6月から現職。グループCCO(最高顧客責任者)。


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