ドジャースの西地区制覇が目前に迫っている。
泣く子も黙るスター軍団だったこれまでとは異なり、今季のドジャースはムーキー・ベッツやフレディー・フリーマンといったスーパースターを擁しつつも、脇を固める選手に若手が多かったのが印象的だ。
実際、今年は実に18人のルーキーを起用している。昨年の11人から大幅に増えている上、その中にはギャビン・ストーンやミゲル・バルガスといったマイナーで高評価を受けていた有望株が多く含まれている。
序盤こそダイヤモンドバックスに首位を譲る時期があったものの、結局は10ゲーム以上のリードを保ち、ドジャースは地区優勝を目前としている。勝利と育成を両立させたその手腕には脱帽するほかない。
特に先発ローテはクレイトン・カーショウ、ランス・リンという35歳以上の大ベテランの2人以外は、3人のルーキーが名を連ねている。
しかし、これはジェームズ・アウトマンなどを抜擢した野手陣のそれと比べると、やむを得ない事情があってのものだった。
今年のドジャース先発投手陣は非常に多くの離脱者に悩まされてきた。トニー・ゴンソリンとダスティン・メイを肘の手術で失い、フリオ・ウリアスにはDV疑惑がかかった。
ドジャースが今季起用した16人の先発投手は再建中のアスレチックス、ロイヤルズ、そしてレッズの次に多い。
そして、数字も実は良くない。現地13日以前の数字で先発防御率はメジャー19位の4.62。これはドジャースの球団史では1929年以来ワーストの数字だ。
圧倒的な戦力層でレギュラーシーズンを制したは良いものの、今年のドジャースがプレーオフを勝ち上がれるかはやや疑問だろう。プレーオフになれば強力なスターターの価値は跳ね上がるためだ。
プレーオフのローテーションの1番手は大エースのクレイトン・カーショウが予想される。防御率2点台と貫禄を見せているカーショウですら、今年は肩の故障に悩まされ、球威は低下している。もう1人のベテランのランス・リンも、ドジャース移籍後に三振が減り、代わりに被本塁打が増えるなど、盤石の存在ではない。
シーズン通して安定感を発揮してきたルーキーのボビー・ミラーは既にキャリアハイの115イニングを投じている。将来のエース候補のイニング数についてはチームも気を使わざるを得ないだろう。
現実的にはドジャースは、最近絶好調のライアン・ペピオや、若き剛腕のギャビン・ストーンとエメット・シーアン、そしてロイヤルズから獲得したライアン・ヤーブローらを活用するほかないだろう。そして強力なブルペンに早い段階でリレーし、リーグ有数のオフェンスで圧倒する。
近年のドジャースには珍しい不利な戦いを強いられることになりそうだが、プレーオフで絶対王者の貫禄を見せられるだろうか。