「山内に勝ってこい」の期待に応え清水英志郎とシェイドレーシング GR86 GTがチーム予選最上位獲得

 9月16日、宮城県のスポーツランドSUGOで公式予選が行われたスーパーGT第6戦『SUGO GT 300km RACE』。GT300クラスでは、予選2番手に平中克幸/清水英志郎組シェイドレーシング GR86 GTがつけ、2022年にGT300クラスに参戦を開始して以来の予選最上位を獲得した。

 スーパー耐久で獲得した数々のタイトルを引っさげ、2022年からGT300に参戦を開始したシェイドレーシングにとって、これまでの1年半は充実の体制とは裏腹に、苦労の連続だった。これまでGT300では毎年のようにチャンピオン争いに絡んできた平中が副代表も兼ねてチームを牽引してきたが、初年度のポイント獲得はわずか2回。ランキングも27位という結果だった。

 今季も平中と清水のコンビ、GT300規定のGR86とダンロップという組み合わせを継続して臨んだが、ポイント獲得も第3戦鈴鹿の一度きり。第3戦、第4戦富士で予選6番手を獲得するなどスピードはみせてきたものの、決してトップを争うものではなかった。

 そんななか迎えた第6戦SUGOでは、公式練習で6番手につける。「今回は走りはじめからバランスなど完璧ではありませんでしたが、その中でもタイムはまわりと比べても良かったので、今回はいけるのかな? と思っていました」というのは平中だ。

「速いときってそうだったな、と思い出しました(笑)」

 これまではチームが一丸となってさまざまな努力を積み重ねてきたが、なかなかタイム、結果に繋がらなかった。しかし「そこまで頑張らなくても、ちょっとバランスがいまひとつだったと思っていても、まわりと比べてもタイムが良いというのが速いということだと思います」と今回はひと味違うスピードがあった。予選でも平中がQ1のB組を3番手につけ突破すると、スーパーGT参戦2年目で力強さを増している清水にQ2を託した。

 Q2のアタックに向かう前、平中は清水に「『山内に勝ってこい』と言ったんです」という。現代GT300の最速予選アタッカーで、SUGOでは無類のスピードを誇るSUBARU BRZ R&D SPORTの山内英輝に予選で打ち勝つことができれば、清水の速さの証明にもなる。

 そんな期待に応えたい清水だったが、公式練習では赤旗中断の影響もあり、アタックシミュレーションができていなかった。ぶっつけ本番のニュータイヤでのアタックで不安もあったというが、1分17秒768で2番手に。不安を打ち破り平中の期待に応え、山内を上回ってみせた。

「終わってみれば良かったです。2番手だったのであとひとつ、惜しかったですけど」と清水は振り返ったが、平中はそのアタックに対し「(山内に勝つ)そのとおりにできたので、すごく成長しました。100点です。ただ、高木(真一)さんがちょっと……(笑)」と賞賛した。清水にとっても、今まで走路外走行のペナルティをとられたりと予選で苦しむこともあったが、「なぜかいつも良かったときに結果に結びつかないことが多くて。今回やっとかたちになったと思います」と納得がいく結果となった。

 とはいえ、重要なのは9月17日の決勝だが、平中は「決勝も悪くないと思います。僕たちは決して予選向けのタイヤを選んだつもりもないですが、パフォーマンスを発揮することができました。ライバルのタイヤメーカーなどは無交換をやってくるかもしれませんし、読めませんが、公式練習のロングランも悪くなさそうでしたからね」と期待を込めた。

 スピードは見せた。次なる目標はやはり決勝での大きなポイント獲得だ。第4戦富士の前には新たなガレージもお披露目し、躍進を目指しているシェイドレーシングが、次なるステップを踏むことができるのか、楽しみにしたいところだ。

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