秋場所の化粧まわし恩師の名入り、朝乃山奮起

  ●亡き浦山さんの知人贈る

 元大関朝乃山が攻めの相撲で白星をつかみ取り、悪い流れを断ち切った。大関戦で3連敗して力不足を痛感したが、両国国技館に駆け付けたファンの大声援に力をもらい、力強い相撲で応えた。亡き恩師・浦山英樹さんの知人が贈った化粧まわしを着用して土俵に臨んでおり「先生の化粧まわしを着けるからには勝ちたいという強い思いがある」と力を込めた。

 「あさのやまー」。土俵に上がると、ひときわ大きな拍手が沸き上がった。黒星が続いても、朝乃山への声援の大きさが変わることはない。

  ●勝利へ強い思い、臆せず前へ

 2020年初場所で朝乃山が敗れて以来、3年8カ月ぶりに阿炎とぶつかった。課題だった立ち合いも修正し、相手のもろ手突きにも臆せずに前に出た。冷静に勝負を決め「白星が先行していないので、またこれからが勝負」と気持ちを切り替えた。

 朝乃山は6日目から、土俵入りの化粧まわしを富山商高時代の恩師である浦山さんの名前が入ったものに変えた。虎が描かれ、「闘虎」と刺しゅうされた化粧まわしだ。今年1月に関取に復帰してから初めて使用しており「昨日は負けて悔しかった」とこぼした。

 NHKの取組動画再生ランキングでは、16日時点で1~4位を朝乃山の取組が占めるなど、抜群の人気を誇る。会場の大きな声援、地元からの応援メッセージが気持ちを立て直す原動力となっている。

 連敗は止めたが、朝乃山が目標とする「年内に三役」を果たすためには負けられない闘いが続く。流れを変える白星を手にしても、朝乃山は「全然、ほっとしていない。まだまだ」。気を引き締め、今場所折り返しの土俵に向かう。

© 株式会社北國新聞社