【橋本環奈×新木優子×岩田剛典】王子様を任せられた理由が分かる!?『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』インタビュー

左より)新木優子、橋本環奈、岩田剛典 撮影/奥田耕平

福田雄一監督とNetflixが初めてタッグを組む映画『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』が世界独占配信中だ。

大ヒットを記録した同名小説は、童話の世界で起きる事件を、旅をしている赤ずきんが探偵として解決していくという童話×ミステリーという新ジャンルだ。

今回、舞台になるのはシンデレラの世界。知的で鋭い洞察力を持つ赤ずきんを橋本環奈、美しいがどこか影のある苦労人のシンデレラを新木優子、国中の女性たちが憧れる王子様を岩田剛典が演じた。

個性あふれる作品、そして福田監督作品の世界でどのように演じたのか。3人に話を聞いた。

【橋本環奈×新木優子×岩田剛典】映画『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』インタビュー&場面写真

福田組だからこその高まる演者からの期待

橋本環奈 撮影/奥田耕平

──今回の作品は童話とミステリーという異色の組み合わせです。原作、もしくは脚本を読まれたときの印象をまずは教えてください。

橋本環奈(以下、橋本) もともと原作を読んでいてすごく好きな作品でした。だから、「これを映像化するんだ」「しかも赤ずきん役なんだ」って嬉しかったですね。 本当に緻密なストーリーに、伏線回収で、原作がしっかりしているとより作品って面白いくなるし、今回は福田組でやるということでコメディの要素が加わってより楽しい作品となるだろうと思っていました。

あとは童話ならではの派手で個性豊かなキャラクターということで、やっぱり衣装とメイクの作り込みがすごかったですね。コスプレっぽくならず、浮かずに、観ている人が没入できる世界観が本当にすごかったなと思っています。

原作はもちろん面白かったですし、これは福田組あるあるなんですけど、脚本の段階ですごく面白いんです。声出して笑っちゃうんですよ。 今回も「これ絶対にムロさんだろうな」とか、「絶対に(佐藤)二郎さんが喋ってるな」ということを感じて面白かったですね。

──やっぱり、お二方が登場すると「来た!」となりますもんね。

橋本 ムロさんと二郎さんは福田組で出ていないことがないので(笑)。

新木優子 撮影/奥田耕平

──新木さんはいかがですか。

新木優子(以下、新木) 原作はオムニバスになっていて、赤ずきんを軸にいろんな童話の主人公と出会ってミステリーを解決していく作品自体がすごく面白いんですよね。 今回はシンデレラの一編がフィーチャーされるということで、どんな作品になるのかすごく楽しみだったんですけど、シンデレラと赤ずきんの関係性だったり、その人たちが演じるからこその、このキャラクターなんだ、というのが脚本から想像できました。

読み進めているだけで楽しかったですね。さらに、どんな映像になるんだろう、素敵な映像になるんだろうな、といろんな想像を膨らませながら、読むことができました。

岩田剛典 撮影/奥田耕平

岩田剛典(以下、岩田) 僕はお話いただくまで原作は拝見してなかったんですけど、タイトルの印象とは全く違う内容で、謎解きとしても、先読みできない展開。そして福田組で、Netflixでこういった座組、いわゆる大作なわけじゃないですか。面白そうだな、と思いました。

まさに物語が飛び出してきたような赤ずきん

橋本環奈 撮影/奥田耕平

──やはり、今回の作品は福田組だということが大きいかと思いますが、福田組と言えば、橋本さんは常連です。

橋本 福田組で主役をやるのは初めてなんですが、勘がよくて知的な役なのでそこは注意して演じていたんですけど、逆に変に作り込むことは無かったですね。福田組ではボケ役が多かったので、今回はテンポ感の良い軽妙な掛け合いが多くて、演じていて楽しかったです。

──閃いたときでしたり、表情の切り替わりがよりキレが増していらっしゃったような。

橋本 監督が「こういう顔がいい」とか「こういう表情をしてほしい」ということを言ってくださるので、それを全力でやる、という感じですね。100%でやることが面白さにつながっていくので、そこの笑いの尺度は完全に福田さん任せでやっていました。

『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』

──新木さん、岩田さんから見て、赤ずきん役はいかがでしたか?

新木 違和感がなさすぎて。

岩田 赤ずきんの衣装も似合いすぎですよね。

新木 あと赤髪!

橋本 そう、赤髪でした。

新木 瞳の色と赤髪がすごく合っていて。最初に赤ずきんが登場するシーンでも、物語の中からそのまま出てきた、というのはこういうことを言うんだな、というぐらい。現場でもそう思っていましたけど、完成した作品で見ても全く違和感がないんですよ。

岩田 本当に衣装を含めて似合っていましたし、こういう童話を日本人がやるとなると、ともすればギャグになってしまう。それが全然ならないのがすごいな、と。 あと、すごく頭の回転が速いキャラクターじゃないですか。すごくハマっていましたよね。 チャキチャキしている感じが。

橋本 それは嬉しい!

魔法にかけられるシーンは何度も観た

新木優子 撮影/奥田耕平

──新木さんが演じられたシンデレラは、世界中でいろんな方が演じていらっしゃることもあり、難しい部分もあったのではないでしょうか。

新木 演じる前は不安や緊張があったんですけど、実際現場に入って、衣装を着て、ウィッグをつけて演じることがすごく楽しかったです。自分らしく、福田組らしく、その場所にいられたらいいな、というナチュラルな気持ちで演じられたのですごく楽しかったです。

──衣装と言えば、本当に豪華絢爛な。

新木 本当にすごいクオリティで。飾りひとつとっても、こだわりが詰まっている衣装なんですよね。 シンデレラの衣装も好きだったんですけど、キャラクターによって飾りが全然違ったりして、ほかの役の方の衣装もちょっとうらやましくなるぐらい素敵だったな、と思います。

──シンデレラは王子様とのダンスのシーンもありました。

新木 初めての経験だったことと、重い衣装を着て、ガラスの靴を履いて踊っていたので難しかったですね。

『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』

──ガラスの靴の素材ってどういったものだったんですか?

新木 硬いクリスタルの素材のものと、遠目から見てもガラスに見えるクリアで足になじむ素材と2パターンありました。どちらでも踊ったんですけど、すごく大変で。アンサンブルの方たちはフルサイズでずっと踊ってらっしゃったので、すごいな、と思いました。所作一つでも見え方が違うようなダンスだったので。

──しかしシンデレラも本当に違和感がなく。

橋本 シンデレラがともすると一番難しい説ありますよね 着こなすのが難しいのと、あとやっぱり、ボロボロの姿からドレスに変わるときの印象的なシーンが本当に良くて。先にドレスのシーンを撮っていたので、後からズタボロ見て「あっ、結構しっかりぼろぼろに作りこまれてる…」って。

新木 ボロッボロでした(笑)。

橋本 そのコントラストがよかったです。 あとシンデレラは髪色が一番難しいですよね。どうしてもブロンドが海外の人のイメージになってしまうので。

新木 それも絶妙な色に仕上げていただきました。根本も少し黒を混ぜてなじませたりとか。

橋本 メイクも本当にはまってて、ピッタリだった。

──本当ボロボロの服から変わる瞬間は、女子全員の憧れの瞬間ですよね。

橋本 ねー!

新木 魔法がかかるところは何回も巻き戻して見ちゃいました(笑)。

橋本 舞踏会のシーンが終わったあと、「戻っちゃった、ずっとそのままでいてくれよ」と思っていました。ドレスの新木さんが綺麗すぎて。

岩田 この現場は本当に眼福でしたね。素晴らしかったです。みなさんのハマり具合もそうですし、そのキャラクターに見えました。映像で見る以上に現場で、それを感じられたのは、すごいことだな、と思います。大ハマリ役だったと思うし、逆に他に誰がやるの?と思います。

橋本 本当にそう! いないよねっていう。

岩田 赤ずきんもそうだけど。

橋本 いや……赤ずきんのほうができると思う。シンデレラのほうが本当に難しいと思います。

王子様を任せられた理由が分かる

岩田剛典 撮影/奥田耕平

──岩田さんは今回王子様ということで、福田監督がコメントで「岩田さんはもう生き様が王子様」とおっしゃっていましたが……。

橋本・新木 (笑)。

岩田 もうね、いじってるんですよ(笑)。

橋本 いじられてる(笑)

岩田 もう少し若いときだったら「王子様役って!」と思ったかもしれないんですけど、すごく楽しんでやっていました。 名前がない役っていうのかな、が初めてだったので、現場でスタッフさんに「王子様入ります!」って言われるんですよ。

橋本 (笑)。

岩田 結構いい気持ちにさせてもらいました(笑)。

橋本 おもしろい、確かに。

岩田 「王子様、こちらへ」と言うような感じなので、つかの間の王子様を味わってみました。

──あの髪型が似合ってるのがすごいな、と思いました。

岩田 そう言っていただけると肩の荷が下ります(笑)。 現場では鏡を見るたびに吹き出しそうになっていました。「イヤ、マジか……」って。

『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』

──お2人から見られて王子様っぷりはいかがでしたか。

橋本 ぴったりでした! すごくスマートにこなしていて、福田さんが岩ちゃんに任せた理由がすごくわかります。王子様は王子様じゃない人がやるとやっぱり面白くなっちゃうよねっていう。だって二郎さんも面白かったもん。

新木 ダンスのシーンで言うと、私はリハーサルを結構重ねたんですけど、岩田さんはやっぱりすごいなと思ったのが、本当に振り付けをスッと覚えていて。私はすごく苦労して覚えたので…。

橋本 さすが!

新木 でも、岩田さんらしいな、と思ったのが、ちょっとヒップホップというか。

岩田 出てた?(笑)

橋本 ははは(笑)

新木 練習で先生に音の取り方が少し違う、というような、難しいことおっしゃられているのを聞いて。プロの中で違いがあるんだな、と思いました。

橋本 あれは覚えてる。最初、シンデレラに近づいていくときにちょっと首が入ってる、って。

岩田 そうそうそう(笑)。ついつい入っちゃう。

新木 社交ダンスはもう少し硬い感じなので。体がやっぱりエモーショナルな動きをされていてて(笑)。

岩田 恥ずかしいですね。

新木 それを抑えるように、って言われていたのは、岩田さんだからかな、と。

橋本 確かに!

新木 プロにしかわからない次元の話ですけど、すごいな、と思いながら見ていました。

人生を豊かにする要素とは?

橋本環奈 撮影/奥田耕平

──作中では、赤ずきんが人生を豊かにするために旅に出るわけですが、みなさんが人生を豊かにするため大切にしていらっしゃることについてお聞きしたいです。

橋本 やりたいことはすぐに実行する、ですね。 私は決断と実行が早い方だと思うので、そこに行きたいと思ったら極力早めに行動に移します。買いたいものを買うとか、こうしたい、とかも即決めます。 おうちも自分が住みやすいように本当にこだわりがたくさんあったり、マイルールを作っていくことで、クオリティオブライフ、QOLをあげられている気がします。

──あんまり悩むこともないです?

橋本 一応悩みますけど、決めるときは直感で決めることが多いので。即断即決というか。

──それであまり後悔もされない?

橋本 しないですね。自分で決めたことなので。

岩田 すばらしい。

新木優子 撮影/奥田耕平

新木 かっこいい! 私は……5年ぐらい前から犬を飼っているんですけど、一緒に暮らすだけでこんなにも心が豊かになるんだ、ということ教えてもらいましたね。もうそのために生きてるというくらい、仕事も頑張れるし、癒しももらっています。散歩に出かけるようになったことも、それだけで視野が広がりました。

もともとアクティブで、行きたいと思ったらすぐ行く、というタイプではあったんですけど、よりその幅が広がったというか。 人生を豊かにするために、愛犬との暮らしをすごく大切にしている、というのはあるかもしれません。

岩田 わりと仕事人間なところがありますし、仕事は好きなんです。でも、よく言いますけど、死ぬときに、「あー仕事ばっかりしてたな」と思いたくないな、というのもあるんですよね。だから、仕事を頑張る反面、息抜きも必要で、息抜きも全力ですることは意識してるかもしれないですね。

橋本 それも!?全力で息を抜くってこと?

岩田 そうそう。休むって人それぞれだと思うんですけど、そのとき一番したいことをします。発散にもなるし、リラックスもできる時間を過ごせていますね。

自分を構成してくれている大切な人たちの存在

岩田剛典 撮影/奥田耕平

──一方で、人生を豊かにしてくれた印象的な出会いはありましたか?

新木 今年の前半、タイで長期間撮影をしていたんですけど、その中で、現地の共演者の方とオフを一緒に過ごすこともあったんですけど、すごく視野が広がったというか。生活の質を上げてくれるような出会いでしたね。

日本に帰ってきてからも連絡を取り合えるような方と出会えたことや、違う国に友達がいることがすごく嬉しくて。日本に来てくれたときは案内もしたいし、すごくいい経験になったな、と思います。

橋本 うーん……ないなあ、そんな体験……。 意外と周りにいる人、ひとりひとりが干渉してくれてるというか。この性格なので、絶対に意見を曲げない、芯があると思われがちなんですけど、割と周りの近しい人たちに影響されて生きてるんですよ。

20歳になったときに、誰からのご飯の誘いも断らないって決めて、1年間ほぼ断らずにいろんな人に会ったんです。びっくりするぐらい人に会って、知り合いは増えたんですけど、結局、今いる人たちって少なくなっているんですよね。

仕事はしているし、私のことを知ってくれてるけど、そうではなくて、人としてやっぱり関わってくれる人はどんどん仲良くなっていく気がしていて。 今周りで私を見てくれている人で構築されているのかなと思いますし一緒に暮らしていた マネージャーや会社のスタッフなんかは本当に大切だなと。

左より)新木優子、橋本環奈、岩田剛典 撮影/奥田耕平

──1回、誘いを全て受けるのは誰でも試すことができそうですね。

橋本 そうなんですよ。会ってみないと分からない人って結構いるんです。 第一印象はすごく嫌かも、という人でも、意外と中身が面白くて。だからこういう第一印象の印象になったんだな、と自分の中で噛み砕けたりもしますし、納得もするし、だから断らなかったんですね。でも、今はもう疲れてできないです。誰かが嫌いとか苦手とかじゃなくて、それだけ会っていたら、普通に人に疲れます(笑)。

岩田 僕も似てますね。腐れ縁だとか、今周りにいる友人たちから影響を受けています。逆にこの業界とか関係なく、昔からずっと変わらないんで。価値観も含めて、気を遣わなくていい人たちですね。 仕事は仕事で自分でやるから、という感覚があるので、逆にそういう自分のオフなところをさらけ出せる人たちが、自分のライフバランスも含めて、助けられてるかな、と思います。

作品情報

Netflix映画『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』
Netflixにて独占配信中

■出演
橋本環奈
新木優子 岩田剛典 夏菜 若月佑美 /桐谷美玲
ムロツヨシ
加治将樹 長谷川朝晴 犬飼貴丈
山本美月 キムラ緑子 真矢ミキ
佐藤二朗

原作/青柳碧人『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』(双葉社刊)
主題歌:SEKAI NO OWARI「タイムマシン」(ユニバーサル ミュージック)
監督/福田雄一
エグゼクティブ・プロデューサー/佐藤善宏(Netflix)
企画統括/佐々木基
プロデューサー/松橋真三(クレデウス)、鈴木大造(クレデウス)
制作プロダクション/クレデウス
制作著作/テレビ朝日
企画・製作/Netflix

(ウレぴあ総研/ ふくだ りょうこ)

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