【MLB】 語られざるリーグ優勝候補 ツインズがプレーオフの台風の目?

写真:タイガースから関心を寄せられる前田健太©Getty Images

シーズンは終盤に差し掛かり、ア・リーグの注目は、三つ巴の優勝争いとなっている西地区、そしてオリオールズとレイズの優勝争いが白熱する東地区、そしてその2地区の優勝争いから漏れたチームによって展開されるワイルドカード争いに集まっている。

一方、5チーム中4チームが勝率5割未満、その中で勝率.523と圧倒もしていないツインズが地区優勝を確実なものとしている中地区は、ほとんど忘れられた存在になっている。

しかし、ツインズは語られることのないリーグ優勝候補かもしれない。プレーオフでダークホースとなるかもしれないツインズの強みについて『MLB.com』がまとめている。

まず、ツインズ最大の強みはローテーションの1・2パンチだ。ア・リーグ奪三振ランキング2位のパブロ・ロペス、そしてア・リーグ防御率ランキング2位のソニー・グレイの並びは双璧だ。

総合指標WARでは『ファングラフス』版でも『ベースボール・レファレンス』版でもロペスとグレイはリーグ5傑に入っている。WARリーグ5位以内に2人の先発投手を擁するチームはもちろん他にはいない。先発3本柱という括りならば、ジョージ・カービー、ルイス・カスティーヨ、ローガン・ギルバートを擁するマリナーズに軍配が上がりそうだが、2トップという括りならばツインズの右に出るものはいない。

強力なスターターの価値が上がるプレーオフにおいて、ロペスとグレイの存在は圧倒的な強みとなり得る。さらに3番手以降のジョー・ライアン、前田健太、ベイリー・オバーも堅実で、ローテーションに隙はない。

リーグ3位の211本塁打を放っている打線も、調子を上げてきている。100を基準とする総合打撃指標wRC+ではロイス・ルイス、マット・ウォルナー、エデュアルド・ジュリエンという3人のルーキーがチームランク1~3位に並ぶなど、ルーキーが打線を牽引。

さらにベテランの復調もそこに加わっている。2019年に36本塁打を放ったマックス・ケプラー、2020年にシルバースラッガーを獲得したドノバン・ソラーノは、その自己ベストのシーズン以来の活躍を見せている。

そして、大型契約で再契約しながら、自己ワーストの不振に苦しんでいたカルロス・コレアも9月以降はwRC+140と絶好調だ。プレーオフ経験が豊富なコレアの復調は大きくプラスに働くだろう。

ブルペンを見ても、全体としては物足りないかもしれないが、絶対的なジョアン・デュランがクローザーに控えている。ルイ・バーランド、ダラス・カイケルなどローテ外の先発投手の層も厚いため、これまでのプレーオフではリリーバーとして活躍してきた前田健太を後ろに回す選択も取れるかもしれない。

加えて、2004年からプレーオフ18連敗中のツインズにとって最大の朗報かもしれないのが、今年のプレーオフにはヤンキースが出ないということ。ツインズのプレーオフ18連敗の内、実に13敗がヤンキース相手に喫したものなのだ。

ジンクスはさておき、今年のツインズはプレーオフでのおよそ20年ぶりの勝利を挙げ、長い10月を戦うだけの資格を持ったチームなのは間違いないだろう。

© 株式会社SPOTV JAPAN