リビア大洪水、被害全容見えず 発生1週間、死者1万1千人以上

大洪水で被災したリビア東部デルナ=15日(現地市民提供、共同)

 【カイロ共同】国家分裂状態のリビアで大洪水が発生し、甚大な被害が出てから18日で1週間。これまでに1万1千人以上の死亡が確認され、行方不明者も約1万人に上るが、被害の全容はいまだ見えず、犠牲者はさらに増える恐れがある。長引く混乱でインフラが整備されず、人災も加わったとの見方が強い。AP通信は16日、当局が洪水を引き起こしたダム決壊の捜査を始めたと伝えた。

 世界気象機関(WMO)などによると、9月上旬にギリシャで「メディケーン(地中海ハリケーン)」と呼ばれる台風のような低気圧が発生。10日にリビア北東部で最大勢力になり、暴風雨に。降水量の急激な増加でダム2基が決壊。11日に大洪水が起き、濁流が押し寄せた下流域の東部デルナなどで建物や人が流された。

 統一政府の欠如がダムの改修の遅れを招き、被害が拡大したとの指摘も。APによると、ダム2基は1970年代に建設された。

 現地では救助隊が活動しているが、道路などに堆積した泥が捜索の妨げになっているほか、水の汚染といった衛生環境の悪化も危惧される。

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