京都の工業団地「駐車場が足りない」 工場増でスペース縮小、悪循環に

長田野工業団地にある市ノ谷公園の敷地内に整備された駐車場(福知山市長田野町)

 京都府福知山市長田野町の長田野工業団地で、従業員が通勤に利用する駐車場が不足している。市は駐車場用地として団地にある公園敷地内の未利用地を各社に貸してきたが、製造業を中心に工場を増設する企業が増えており、各社の駐車スペース縮小と従業員の増加でますます駐車場が足らなくなる悪循環に陥っている。

 団地に進出する全43社でつくる長田野工業センターによると、駐車場不足は2018年ごろから表面化し、当初は各社で駐車場の貸し借りをして対応してきたという。しかし、近年は業績好調の製造業を中心に工場の拡張が相次いでいる。団地内の従業員は18年の6395人から増え続け、23年3月末には市の人口の1割に当たる7457人に達した。

 団地の工場用地は全て売れており、駐車場として新たに確保するスペースはない。センターは市に相談し、19年から市ノ谷公園の雑木林だった土地約1万6千平方メートルを借り受け、3度にわたって486台分の駐車場を整備した。約9割の431台分が各社に割り当てられている。

 ただ新型コロナウイルス禍からの経済回復で、今後も半導体関連製造や化学メーカーなどが工場建設や従業員の増員を計画しており、センターはさらなる駐車場の確保に頭を悩ます。嵯峨根正和専務理事は「一企業の問題としてでなく、工業団地全体の問題として行政に訴えかけていくことで解決を目指したい」と話す。

 工場の増設が相次いでいる理由について、ある企業の幹部は「京阪神にある本社に近く、取引先も関西圏に多い」と交通の便の良さを挙げる。駐車場不足については「企業として従業員に働きやすい環境を提供する必要がある」と、立体駐車場の建設や用地確保の必要性を指摘する。

 団地を造成した府産業立地課は「企業間の調整以外に支援策を打ち出すのは難しい」と頭を抱える。市産業観光課は団地から離れた場所になら利用可能な市有地があるとして、「企業ニーズを踏まえて対応を検討したい」としている。

工場の増設が進む長田野工場団地(福知山市長田野町)

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