ガラス浮き玉アートで再生 地域おこし協力隊員企画 「かっこよく描けた」/青森・平内町

ガラス玉は直径30~40センチほど。来場者が思い思いに好きな絵を描いた

 かつてホタテガイ養殖に使われ、役目を終えたガラスの浮き玉を地域おこしに活用する取り組みが、青森県平内町で行われている。町を訪れた大学生が、廃棄されるガラス玉の再活用を提案。ガラス玉に絵を描くアートイベントがこのほど東田沢地区で開かれ、多くの親子連れなどでにぎわった。

 椿神社で9日行われた「キラキラガラス玉アートin椿山」では、来場者が「キットパス」というクレヨン状の画材で、ガラス玉の表面に思い思いに絵を描いた。アート作品に生まれ変わったガラス玉は参道などに並べられ、来場者が記念撮影して交流サイト(SNS)に投稿していた。

 家族3人で訪れた同町小湊小4年の植村友哉君は、漁船の絵を描き上げ「お父さんのホタテの船です。かっこよく描けた」と笑顔を見せた。キットパスは水で落ちるため、ガラス玉はキャンバスとして何度でも再利用できるという。

 イベントは弘前大学の学生のアイデアを踏まえ、町の地域おこし協力隊員・辻井輝子さん(46)が企画した。

 学生らは昨年、フィールドワークで町を訪問。漁業の現場でプラスチックの浮き玉が主流になったため、多くのガラス玉が処分されることを知り「もったいない」とアートへの活用などを提案した。

 この日は学生らも運営ボランティアとして受付などを担当。人文社会科学部3年の境萌絵さんは「ガラス玉の処分にはお金がかかるし、とてもきれいなので再利用してほしいと思った。照明でライトアップするなど、さまざまな使い方があるのでは」と述べた。

 辻井さんは今後、アートやインテリアなどの面から、ガラス玉の活用策を探るという。「ガラス玉のように、町外の人が魅力を感じるような地域資源が平内にはたくさんある。SNSで町外に発信すれば、町への関心も高まる」と指摘し、今回のイベントについて「地元の人が、そんな地域の魅力に目を向けるきっかけになればうれしい」と話していた。

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